FP1級 2020年9月 応用編 問54
Aさん(40歳)は、上場株式と外貨建金融商品による資産運用を始めたいと考えている。Aさんは、上場株式については同業種のX社とY社に興味を持ち、外貨建金融商品については下記の米ドル建債券に関心がある。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ等〉(単位:百万円)〈米ドル建債券の概要〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社とY社の財務データ等〉(単位:百万円)〈米ドル建債券の概要〉
- 利率(年率):1.5%(米ドルベース、年2回利払)
- 残存期間 :5年
- 単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート(円/米ドル)
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問54
《設例》の〈X社とY社の財務データ等〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。- 「X社とY社を総資産経常利益率で比較すると、X社の値が(①)%、Y社の値が□□□%であり、X社の値のほうが上回っています。この総資産経常利益率を売上高経常利益率と総資産回転率の2指標に分解して比較すると、前者についてはX社の値が(②)%、Y社の値が□□□%、後者についてはX社の値が□□□回、Y社の値が(③)回であり、X社のほうが売上高に対する経常的な利益の割合がより高いことがわかります」
- 「X社とY社を財務的な安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、X社の値が□□□倍、Y社の値が(④)倍であり、Y社のほうが財務的な余裕があるといえます」
- 「X社とY社を今後の成長性を測る指標であるサスティナブル成長率で比較すると、X社の値が(⑤)%、Y社の値が□□□%であり、X社の値のほうが上回っています」
①% |
②% |
③回 |
④倍 |
⑤% |
正解
① 5.62(%) |
② 4.33(%) |
③ 1.43(回) |
④ 26.95(倍) |
⑤ 6.90(%) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
総資産経常利益率は、貸借対照表上の総資産に対する経常利益の割合で「当期経常利益÷総資産×100」の算式で求めます。X社の経常利益は86,500、総資産は1,540,000なので、総資産経常利益率は、
86,500÷1,540,000×100=5.616…%
(小数点以下第3位四捨五入)5.62%
よって、正解は5.62(%)となります。
〔②について〕
売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合で「経常利益÷売上高×100」の算式で求めます。X社の経常利益は86,500、売上高は2,000,000なので、売上高経常利益率は、
86,500÷2,000,000×100=4.325%
(小数点以下第3位四捨五入)4.33%
よって、正解は4.33(%)となります。
〔③について〕
総資産回転率は、総資産に対する売上高の割合で「売上高÷総資産」で求めます。Y社の売上高は1,600,000、総資産は1,120,000なので、Y社の総資産回転率(回)は、
1,600,000÷1,120,000=1.428…回
(小数点以下第3位四捨五入)1.43回
よって、正解は1.43(回)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
Y社の事業利益は「58,000+500+800=59,300」、金融費用(支払利息のみ)は2,200なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
59,300÷2,200=26.954…倍
(小数点以下第3位四捨五入)26.95倍
よって、正解は26.95(倍)となります。
〔⑤について〕
サスティナブル成長率は、外部資金調達を行わずに内部留保の再投資のみで実現可能な成長率のことで、以下の式で算出されます。
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100
【内部留保率】
内部留保率は、当期純利益に対する内部留保額の割合で「内部留保額÷当期純利益×100」で求めます。内部留保額とは、当期純利益のうち配当に充てられなかった額の割合ですから「当期純利益-配当金総額」で計算します。※模範解答のように「1-配当性向」で求めることもできます。
X社の当期純利益は55,200、内部留保額は「55,200-13,800=41,400」なので、内部留保率は、
41,400÷55,200×100=75%
【自己資本利益率】
自己資本利益率は、自己資本に対してどの程度の利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた額なので「616,000-16,000=600,000」、X社の自己資本利益率は、
55,200÷600,000×100=9.2%
以上より、X社のサスティナブル成長率は、
75%×9.2%×100=6.90%
よって、正解は6.90(%)となります。
【別解】
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100 を、
内部留保額当期純利益×当期純利益自己資本×100=内部留保額自己資本×100
に変形して、
55,200-13,800580,000+20,000×100=6.90%
総資産経常利益率は、貸借対照表上の総資産に対する経常利益の割合で「当期経常利益÷総資産×100」の算式で求めます。X社の経常利益は86,500、総資産は1,540,000なので、総資産経常利益率は、
86,500÷1,540,000×100=5.616…%
(小数点以下第3位四捨五入)5.62%
よって、正解は5.62(%)となります。
〔②について〕
売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合で「経常利益÷売上高×100」の算式で求めます。X社の経常利益は86,500、売上高は2,000,000なので、売上高経常利益率は、
86,500÷2,000,000×100=4.325%
(小数点以下第3位四捨五入)4.33%
よって、正解は4.33(%)となります。
〔③について〕
総資産回転率は、総資産に対する売上高の割合で「売上高÷総資産」で求めます。Y社の売上高は1,600,000、総資産は1,120,000なので、Y社の総資産回転率(回)は、
1,600,000÷1,120,000=1.428…回
(小数点以下第3位四捨五入)1.43回
よって、正解は1.43(回)となります。
〔④について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
Y社の事業利益は「58,000+500+800=59,300」、金融費用(支払利息のみ)は2,200なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
59,300÷2,200=26.954…倍
(小数点以下第3位四捨五入)26.95倍
よって、正解は26.95(倍)となります。
〔⑤について〕
サスティナブル成長率は、外部資金調達を行わずに内部留保の再投資のみで実現可能な成長率のことで、以下の式で算出されます。
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100
【内部留保率】
内部留保率は、当期純利益に対する内部留保額の割合で「内部留保額÷当期純利益×100」で求めます。内部留保額とは、当期純利益のうち配当に充てられなかった額の割合ですから「当期純利益-配当金総額」で計算します。※模範解答のように「1-配当性向」で求めることもできます。
X社の当期純利益は55,200、内部留保額は「55,200-13,800=41,400」なので、内部留保率は、
41,400÷55,200×100=75%
【自己資本利益率】
自己資本利益率は、自己資本に対してどの程度の利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた額なので「616,000-16,000=600,000」、X社の自己資本利益率は、
55,200÷600,000×100=9.2%
以上より、X社のサスティナブル成長率は、
75%×9.2%×100=6.90%
よって、正解は6.90(%)となります。
【別解】
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100 を、
内部留保額当期純利益×当期純利益自己資本×100=内部留保額自己資本×100
に変形して、
55,200-13,800580,000+20,000×100=6.90%
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