FP1級 2020年9月 応用編 問56

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(40歳)は、上場株式と外貨建金融商品による資産運用を始めたいと考えている。Aさんは、上場株式については同業種のX社とY社に興味を持ち、外貨建金融商品については下記の米ドル建債券に関心がある。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈X社とY社の財務データ等〉(単位:百万円)
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〈米ドル建債券の概要〉
  • 利率(年率):1.5%(米ドルベース、年2回利払)
  • 残存期間  :5年
  • 単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート(円/米ドル)
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問56

《設例》の〈米ドル建債券の概要〉の条件で、為替予約を付けずに円貨を外貨に交換して当該債券を購入し、1年6カ月後に売却して、売却金額と3回分の利子をまとめて円貨に交換した場合における所有期間利回り(単利による年換算)を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、1年6カ月は1.5年として計算し、税金等は考慮しないものとする。

正解 

 0.82(%)
(101.75米ドル+100米ドル×0.015×1.5年)×109.75円102.50米ドル×110.00円-11.5年×100
=0.82%(小数点以下第3位四捨五入)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:4.債券投資

解説

所有期間利回りは、債券を満期まで保有せずに途中換金した場合の利回りです。外貨での利回り計算では、円換算での購入価格と売却価格をそれぞれ求め、年換算したときの損益額を購入価格で除して求めます。

設問の単位が100米ドルなので、額面で100米ドル分購入したと仮定して利回りを計算していきます。

【購入価格】
購入時の単価は102.5米ドルです。購入時は円貨を外貨に交換するため、TTSを使用して購入価格を計算します。

 102.5米ドル×110.00円=11,275円

【売却価格】
売却時の単価は101.75米ドルです。これに3回分の利子も加えて売却価格を求めます。年1.5%の利子が年2回に分けて支払われるので、1回当たりの利払いは額面100米ドル当たり「1.5%÷2=0.75%」相当額、それが3回分なので受け取る利子額は、

 100米ドル×0.75%×3回分=2.25米ドル

売却時は外貨を円貨に交換するため、TTBを使用して売却価格を計算します。

 (101.75+2.25)米ドル×109.75円=11,414円

得られた損益の年換算額を求め、これを購入価格で除して所有期間利回りを求めます。

 (11,414円-11,275円)÷1.5年=92.6666…円
 92.6666…円÷11,275円×100=0.82187…%
(小数点以下第3位四捨五入)0.82%

よって、正解は0.82%になります。