FP1級 2021年1月 応用編 問63

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問63

《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

正解 

 1,235(円)
(2,200,000円-400,000円+1,600,000円)÷220,000,000円÷50円=4.2円(10銭未満切捨て)
12,000,000円 >(12,000,000円+11,200,000円)÷2=11,600,000円
11,600,000円20,000,000円÷50円=29円
20,000,000円÷40,000株=500円
248円×4.2円4.51円29円28円155円282円3×0.6×500円50円
=248円×0.93+1.03+0.543×0.6×500円50円
=248円×0.83×0.6×10
=123.5円×10
=1,235円

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:5.相続財産の評価(不動産以外)

解説

類似業種比準価額は以下の式で求めます。
63.png./image-size:505×153
まず計算手順を確認します。複雑ですが絶対にマスターしましょう。
  1. 類似業種株価として、①評価する月、②評価する前月、③評価する前々月、④前年の平均株価、⑤過去2年間の平均株価の中から最も低い金額を選択する(上記5つ以外のダミーの金額があるので注意!
  2. 資本金等の額と発行済株式数から1株当たり純資産額を求める(大抵は500円になるはず)
  3. 1株当たり資本金等の額を50円としたときの発行済株式数を求める
  4. (3)の株式数を用いて、1株当たりの配当金額、利益、純資産額のうち空欄になっている金額を計算する
  5. 計算過程における切捨て条件に注意しつつ、上記の式に各金額を当てはめて計算する
  6. 「1株当たりの資本金等の額/50円」を乗じて、実際の1株当たりの価額に還元する
では計算していきます。
  1. 設例には6つの平均株価が提示されていますが、このうち「前々年の平均株価」は使用できません。よって、残る5つのうち最も低い「過去2年間の平均株価248円」を使用することになります。
  2. 資本金等の額が2,000万円、発行済株式数が40,000株なので、1株当たり純資産額は「2,000万円÷4万株=500円」
  3. 資本金等の額が2,000万円なので、1株当たり資本金等の額を50円としたときの発行済株式数は「2,000万円÷50円=40万株」
  4. 【1株当たりの配当金額】
    配当金額は、直前期末以前2年間の配当金額の平均を、発行済株式数(1株当たり50円としたときの、以下同じ)で除して求めます。ただし特別配当や記念配当その他臨時的な配当は除いて計算する必要があります。
    直前期の配当金額は記念配当を除くと「220万円-40万円=180万円」、直前々期の配当金額は160万円なので、平均額は180万円+160万円2=170万円です。よって、1株当たりの配当金額は、

     170万円÷40万株=4.25円
    (10銭未満切り捨て)4.2

    【1株当たりの利益金額】
    ①直前期末以前1年間の法人税の課税所得金額(非経常的な利益金額を除く)と、②直前期末以前2年間の平均額のうち低い方を、発行済株式数で除して求めます。
    直前期の所得金額は1,200万円、直前2年間の平均額は1,200万円+1,120万円2=1,160万円なので、低い方の1,160万円を使って1株当たりの利益金額は、

     1,160万円÷40万株=29

  5. ここまでの金額を式に当てはめると次のようになります。X社は中会社なので斟酌率は0.6を使います。また、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨てることに注意しましょう(が付いている部分が切捨て処理の箇所です)。

     248円×4.2円4.51円29円28円155円282円3×0.6
    =248円×0.93+1.03+0.543×0.6
    =248円×0.83×0.6=123.504円

  6. 最後に500円/50円を乗じて、つまり10倍して類似業種比準価額とします。

     123.504円×500円50円=1,235.04円
    (円未満を切り捨て)1,235円
したがって正解は1,235(円)となります。