FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問3

問3

雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 一般被保険者が会社の倒産により離職を余儀なくされて失業した場合、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、所定の手続により、基本手当の支給を受けることができる。
  2. 基本手当は、原則として、4週間に1回、公共職業安定所において失業の認定を受けた日分が支給される。
  3. 特定受給資格者・特定理由離職者以外の受給資格者(就職困難者を除く)の所定給付日数は、受給資格者の離職の日における年齢にかかわらず、原則として、算定基礎期間が10年未満の場合は90日、10年以上20年未満の場合は120日、20年以上の場合は150日である。
  4. 基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の6カ月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を基に算出されるが、下限額および受給資格者の年齢区分に応じた上限額が設けられている。

正解 1

問題難易度
肢158.4%
肢28.7%
肢313.9%
肢419.0%

解説

  1. [不適切]。会社の倒産によって離職を余儀なくされた一般被保険者は、特定受給資格者となり、離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あれば、基本手当を受給できます。本肢は「離職の日以前2年間に」としているので誤りです(雇用保険法13条2項)。
    事業所の倒産により離職し、雇用保険の一般被保険者資格を喪失した者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、基本手当の受給対象者となる。2018.9-3-1
    高年齢被保険者が失業した場合において、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある者は、所定の手続により、算定基礎期間に応じて基本手当日額の50日分または100日分に相当する高年齢求職者給付金を受給することができる。2017.1-3-4
  2. 適切。基本手当の受給資格者は、最初に求職の申込みを行った日から起算して4週間ごとに公共職業安定所に出頭し、直前の4週間の中で失業の認定を受けた日分の基本手当を受給することになります(雇用保険法15条3項)。
  3. 適切。自己都合退職者や定年退職者等の一般離職者の所定給付日数は、年齢に関係なく被保険者であった期間(算定基礎期間)のみによって決まります。10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です(雇用保険法22条1項)。
    03.png./image-size:383×95
    特定受給資格者・特定理由離職者以外の受給資格者(就職困難者を除く)の所定給付日数は、受給資格者の離職の日における年齢にかかわらず、算定基礎期間が10年未満の場合は90日、10年以上20年未満の場合は120日、20年以上の場合は150日である。2020.1-3-4
    特定受給資格者以外の受給資格者(就職困難者を除く)の所定給付日数は、離職の日における年齢および算定基礎期間の長短に応じて、90日、120日、150日、180日のいずれかとなる。2018.9-3-3
  4. 適切。基本手当日額の算定基礎となる賃金日額は、被保険者期間の最後6カ月間に支払われた賃金(賞与等を除く)を180で除して算出します(雇用保険法17条1項)。算出された賃金日額が下限額(約2,500円)を下回るときは下限額となります。また、離職日の年齢に応じて賃金日額の上限額が設定されています(雇用保険法17条4項)。
    この賃金日額に、賃金日額に応じて決まる50%~80%(60歳以上65歳未満は45%~80%)の給付率を乗じて得た額が基本手当日額となります。
したがって不適切な記述は[1]です。