FP1級過去問題 2021年5月学科試験 問4

問4

老齢厚生年金の繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。
  2. 65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した者が繰下げ支給を希望する場合、65歳到達月の末日までに「老齢厚生年金支給繰下げ申出書」を提出し、繰り下げる月数を届け出る必要がある。
  3. 加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。
  4. 第1号厚生年金被保険者期間に係る老齢厚生年金と第2号厚生年金被保険者期間に係る老齢厚生年金の受給権を取得した者は、それぞれについて異なる時期から繰り下げて増額された年金の支給を受けることができる。

正解 3

問題難易度
肢19.3%
肢210.2%
肢368.4%
肢412.1%

解説

  1. 不適切。65歳以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給ができるため、老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者は、老齢厚生年金の繰下げ請求ができます。一方、老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金・遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権者であった者は、繰下げ請求ができません。
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。2021.1-5-4
    65歳到達時に老齢基礎年金の受給権を取得し、70歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者は、70歳到達時、5年分の年金を一括して受給するか繰下げ支給の申出をするかを選択することができる。2020.1-4-4
    66歳到達時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、その受給権を取得した者が、70歳到達日に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢基礎年金の増額率は33.6%である。2019.9-4-2
    障害基礎年金を受給している者が65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。2019.9-4-3
    障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。2016.9-4-2
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、いずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.9-5-1
    障害基礎年金の受給権者が65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せによる年金の受給を選択することができる。2015.9-5-2
    障害基礎年金のみを受給しているCさんが、65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。2014.1-7-3
  2. 不適切。老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げ請求は、1年繰下げであれば66歳到達月、2年繰下げであれば67歳到達月というように繰下げる月まで待ってから行います。事前に届け出るわけではありません。
    65歳到達時に受給権が発生した老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給を66歳以後に繰り下げる場合、65歳到達月の末日までに所定の支給繰下げ申出書を提出する必要がある。2019.1-4-4
  3. [適切]。加給年金額は、繰下げによる増額の対象外となっています。また繰下げ待機期間に加給年金額は支給されません。
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    65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.1-3-4
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2019.9-4-4
    加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。2019.1-3-3
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2017.9-4-4
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については繰下げしても増額されない。2016.9-4-4
  4. 不適切。厚生年金保険法では、被保険者を第1号(第2号~第4号に該当しない者)、第2号(国家公務員)、第3号(地方公務員)、第4号(私立学校教員等)に分けています。2つ以上の被保険者種別の厚生年金被保険者期間がある場合、年金額は被保険者種別ごとに計算されますが、繰下げ請求は同時に行う必要があります。
    第1号厚生年金被保険者期間と第3号厚生年金被保険者期間を有する老齢厚生年金の受給権者が第1号厚生年金被保険者である場合、在職老齢年金による支給調整の対象となるのは、第1号厚生年金被保険者期間に対応する老齢厚生年金のみである。2024.1-5-3
    遺族厚生年金を受給している厚生年金保険の被保険者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得し、65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である場合、当該受給権者は、退職して厚生年金保険の被保険者資格を喪失後に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2016.9-4-3
したがって適切な記述は[3]です。