FP1級 2021年5月 応用編 問52(改題)

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問52

Mさんは、Aさんに対して、65歳以後の在職老齢年金および雇用保険の高年齢求職者給付金について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

  1. 〈在職老齢年金〉
     「65歳以上の厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金は、その受給権者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額に基づく基本月額と総報酬月額相当額との合計額が()円(支給停止調整額、2023年度価額)を超える場合、報酬比例部分の額の一部または全部が支給停止となります。総報酬月額相当額とは、受給権者である被保険者の標準報酬月額とその月以前1年間の()の総額を12で除して得た額との合計額です。
     仮に、Aさんが65歳以後も厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合に、Aさんの老齢厚生年金の報酬比例部分の額に基づいて計算した基本月額が12万5,000円、総報酬月額相当額が38万円であるとすると、支給される老齢厚生年金の報酬比例部分の額(月額)は()円となります。
     なお、老齢厚生年金は、その支給を繰り下げることによって年金額を増額することができ、70歳到達月に繰下げ支給の申出をした場合の増額率は()%になります。ただし、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止される部分の金額は、増額の対象となりません」
  2. 〈高年齢求職者給付金〉
     「Aさんが65歳以後にX社を退職して再就職を希望する場合、Aさんは、所定の手続により、雇用保険の高年齢求職者給付金を受給することができます。
     高年齢求職者給付金は一時金で支給されます。その額は、原則として、算定基礎期間が1年未満の場合は基本手当日額に()日を乗じて得た額となり、算定基礎期間が1年以上の場合は基本手当日額に()日を乗じて得た額となります。基本手当日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の()カ月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を基に算出した賃金日額に、当該賃金日額に応じた給付率を乗じて得た額となります。
     高年齢求職者給付金の支給を受けようとする場合は、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしたうえ、失業していることについての認定を受ける必要があり、その受給期限は離職の日の翌日から()年となっています」
 
カ月

正解 

① 480,000(円)
② 標準賞与額
③ 112,500(円)
④ 42(%)
⑤ 30(日)
⑥ 50(日)
⑦ 6(カ月)
⑧ 1(年)

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:5.公的年金

解説

〔①について〕
65歳以上の人の支給停止調整額は470,000円(2020年度価額)です。この額は毎年4月1日に改定されます。
よって、正解は470,000(円)となります。

〔②について〕
総報酬月額相当額は、厚生年金の標準報酬月額に、過去1年間の標準賞与額の合計を12で除した額を加えた額です。賞与を月換算にして月々の賃金に足すというイメージです。
よって、正解は標準賞与額となります。

〔③について〕
賃金と基本年金額(加給年金額を除いた年金)の合計額が、支給停止調整額を上回る場合に、賃金の増加2に対し年金額1を支給停止するのが在職老齢年金の仕組みです。
Aさんのケースを当てはめると、

賃金+年金:125,000円+380,000円=495,000円
支給停止調整額を超える額:505,000円-480,000円=25,000円
支給停止額:25,000円÷2=12,500円
支給される報酬比例部分の額:125,000円-12,500円=112,500円

よって、正解は112,500(円)となります。

〔④について〕
年金の繰下げを請求すると、年金額は繰上げ1月当たり0.7%増額されます。65歳から70歳まで繰り下げると5年(=60月)ですので、増額率は「0.7%×60月=42%」です。
よって、正解は42(%)となります。

〔⑤、⑥について〕
高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者に対して雇用保険の基本手当の代わりに支給されるもので、算定基礎期間(雇用保険の被保険者であった期間)が1年未満の人は基本手当日額の30日分、1年以上の人は50日分が一時金として支給されます。
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よって、⑤は30(日)、⑥は50(日)が正解となります。

〔⑦について〕
雇用保険の基本手当日額は、最後6カ月の被保険者期間に支払われた賃金総額を180で除した賃金日額に、50%(60歳以上65歳未満は45%)~80%の給付率を乗じて得た額です。
よって、正解は6(カ月)となります。
※賃金日額については下限額、年齢ごとの上限額が設定されています。

〔⑧について〕
高年齢求職者給付金を支給を受けるには、離職日の翌日から起算して1年以内に公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、待期期間や給付制限期間の終了後、失業の認定を受けなければなりません。なお、高年齢求職者給付金は一時金なので、一般被保険者と異なり1回だけ失業の認定を受ければOkです。
よって、正解は1(年)となります。