FP1級 2021年5月 応用編 問63

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問63

仮に、Aさんが現時点(2023年5月23日)において死亡した場合、《設例》の〈Aさんが所有している甲土地および乙土地に関する資料〉に基づき、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の相続税の課税価格に算入すべき①甲土地の価額と②乙土地の価額を、それぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は万円単位とすること。
 なお、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用にあたって、甲土地のうち自宅に対応する部分は特定居住用宅地等、賃貸アパートに対応する部分は貸付事業用宅地等、乙土地は特定事業用宅地等にそれぞれ該当するものとし、課税価格の計算上、減額される金額の合計額が最大となるように計算すること。
万円
万円

正解 

① 1,716(万円)
② 800(万円)

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:7.不動産の相続対策

解説

特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用する場合は、調整することなくそれぞれの限度面積(330㎡と400㎡)まで適用を受けられますが、貸付事業用宅地とそれ以外の宅地を併用する場合には適用可能面積が以下の式により制限されます。
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以下の3つの部分について、どう適用を受けるのが最も有利になるかを考えることになります。
甲土地の賃貸アパートに対応する部分
面積:198㎡×2/3=132㎡
相続税評価額(貸家建付地):(3,600万円×2/3)×(1-60%×30%×100%)=2,400万円×82%=1,968万円
甲土地の自宅に対応する部分
面積:198㎡×1/3=66㎡
相続税評価額:3,600万円×1/3=1,200万円
乙土地
面積:188㎡
相続税評価額:4,000万円
単価が高い土地に優先的に適用していく方が最終的に減額幅が大きくなるので、本問でいれば、乙土地→甲土地の自宅に対応する部分→甲土地の賃貸アパートに対応する部分の順に適用していきます。

特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用した場合の減額分は、
  • 特定居住用宅地等:1,200万円×80%=960万円
  • 特定事業用宅地等:4,000万円×80%=3,200万円
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の合計面積が「188㎡+66㎡=254㎡」と小さいので、さらに貸付事業用宅地等についても適用可能面積があります。
  • 貸付事業用宅地等として適用を受けられる面積
     200㎡-188㎡×200㎡400㎡+66㎡×200㎡330㎡
    =200㎡-94㎡-40㎡=66㎡
  • 貸付事業用宅地等:1,968万円×66㎡132㎡×50%=492万円
〔①について〕
甲土地の相続税評価額の合計から、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等の減額分を控除した額が相続税の課税価格に算入すべき額となります。

 (1,968万円+1,200万円)-(960万円+492万円)=1,716万円

よって、正解は1,716(万円)です。

〔②について〕
乙土地の相続税評価額から、特定事業用宅地等の減額分を控除した額が相続税の課税価格に算入すべき額となります。

 4,000万円-3,200万円=800万円

よって、正解は800(万円)です。