FP1級 2022年9月 応用編 問60

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問60

甲土地と乙土地とを一体とした土地に耐火建築物を建築する場合、次の①および②に答えなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は㎡表示とすること。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。
  2. 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。

正解 

① 712(㎡)
② 2,380(㎡)

分野

科目:E.不動産
細目:3.不動産に関する法令上の規制

解説

まず、乙土地は2項道路(南側の3m道路)に接しているためセットバックについて考慮する必要があります。
道路の反対側はがけ地や川等ではないことから、道路の中心線から2mの線まで後退することとなり、乙土地の南側0.5mがセットバック部分になります。このため、建蔽率・容積率の算定上に用いる敷地面積の計算に当たっては、乙土地の縦幅を「16m-0.5m=15.5m」とみなします。したがって、乙土地の敷地面積には、南側が0.5mだけ狭い「15.5m×20m=310㎡」を使います。

〔①について〕
建築物が建蔽率の異なる複数の用途地域にまたがって建築される場合、各用途地域ごとに「敷地面積×建蔽率」で建築面積を求め、その合計が敷地全体の建築面積の限度となります。

建築面積の計算では建蔽率の緩和を考慮する必要があります。
本問の建物は防火地域と準防火地域にまたがって建築されるので、建築物全体が厳しいほうの防火地域に存するとみなして規制が適用されます。そうなると"防火地域内の耐火建築物等"に該当するため、建蔽率80%の近隣商業地域の部分は制限なし(100%)、第一種中高層地域の部分は+10%の緩和を受けられます。また、甲土地・乙土地を一体とした土地は指定角地に該当するので、さらに+10%の緩和を受けることができます。

用途地域ごとに分けて建築面積の限度を計算し、それを合計します。
近隣商業地域に属する部分
400㎡×100%=400㎡
第一種中高層地域に属する部分
(80㎡+310㎡)×(60%+20%)=312㎡
建蔽率の上限となる建築面積
400㎡+312㎡=712㎡
よって、正解は712(㎡)になります。

〔②について〕
建築物が容積率の異なる複数の用途地域にまたがって建築される場合、各用途地域ごとに「敷地面積×容積率」で延べ面積を求め、その合計が敷地全体の延べ面積の限度となります。本問では前面道路が12mであり、前面道路による容積率の制限を受けないので、指定容積率をそのまま使います。

用途地域ごとに分けて延べ面積の限度を計算し、それを合計します。
近隣商業地域に属する部分
400㎡×400%=1,600㎡
第一種中高層地域に属する部分
(80㎡+310㎡)×200%=780㎡
容積率の上限となる延べ面積
1,600㎡+780㎡=2,380㎡
よって、正解は2,380(㎡)になります。