FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問5

問5

老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給と繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。
  2. 1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。
  3. 1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。
  4. 1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。

正解 3

問題難易度
肢111.9%
肢234.0%
肢336.8%
肢417.3%

解説

  1. 不適切。老齢年金の繰上げ支給の請求は、老齢基礎年金・老齢厚生年金を同時にしなければならないので、老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることはできません。
    1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。2023.5-5-2
    1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-3
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性で、厚生年金保険の被保険者期間を有する者は、所定の要件を満たせば、60歳から老齢基礎年金のみを繰上げ受給し、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。2017.9-4-1
  2. 不適切。繰上げ請求に係る減額率は1月当たり0.4%に緩和されましたが、この0.4%の減額率が適用されるのは、1962年4月2日以降に生まれた人(法が施行された2022年4月1日以降に60歳になる人)に限られます。本肢の女性は1962年3月10日生まれなので、1月当たりの減額率は従前のまま0.5%、4年=48月の繰上げなので減額率は「48月×0.5%=24%」です。
    1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。2023.5-5-1
    1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-3
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性で、厚生年金保険の被保険者期間を有する者は、所定の要件を満たせば、60歳から老齢基礎年金のみを繰上げ受給し、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。2017.9-4-1
  3. [適切]。繰下げ請求では、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時にする必要はありません。繰下げ請求できる年齢は最長で75歳までに伸びましたが、75歳まで繰下げできるのは、1952年4月2日以降に生まれた人(法が施行された2022年4月1日以降に70歳になる人)に限られます。本肢の男性は1958年生まれなので、73歳で繰下げ支給の請求をすることができます。
    1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。2023.5-5-1
    1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。2023.5-5-2
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性で、厚生年金保険の被保険者期間を有する者は、所定の要件を満たせば、60歳から老齢基礎年金のみを繰上げ受給し、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。2017.9-4-1
  4. 不適切。公的年金の障害給付や遺族給付の受給権を有している人は、老齢基礎年金の繰下げ受給の請求をすることができません。老齢厚生年金でも基本的に繰下げ不可ですが、併給が可能である障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せだけは、繰下げか可能となっているので注意しましょう。
    1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。2023.5-5-1
    1962年3月10日生まれの国民年金の第1号被保険者期間のみを有する女性が、61歳に達した月に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、当該年金の減額率は19.2%である。2023.5-5-2
    1958年6月23日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、73歳に達した月に老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-3
    1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性で、厚生年金保険の被保険者期間を有する者は、所定の要件を満たせば、60歳から老齢基礎年金のみを繰上げ受給し、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。2017.9-4-1
したがって適切な記述は[3]です。