FP1級過去問題 2023年9月学科試験 問26

問26

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 居住しなくなった家屋を譲渡する場合、居住しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡しなければ、本特例の適用を受けることはできない。
  2. 居住しなくなった家屋を取り壊し、その敷地を譲渡する場合、取り壊した家屋およびその敷地の所有期間が、居住しなくなった日の属する年の1月1日において5年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。
  3. 合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による損益通算の適用を受けることはできない。
  4. 本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額が限度となる。

正解 1

問題難易度
肢147.1%
肢210.6%
肢332.1%
肢410.2%

解説

  1. [適切]。本特例の適用を受けるためには、現に住んでいる家屋を譲渡するか、住まなくなった日の3年後の12月31日までに譲渡する必要があります(措置法41条の5の2第7項)。
    譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。2024.5-27-1
    居住しなくなった家屋を取り壊し、その敷地を譲渡する場合、取り壊した家屋およびその敷地の所有期間が、居住しなくなった日の属する年の1月1日において5年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。2023.9-26-2
    本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。2019.1-27-1
  2. 不適切。家屋を取り壊して敷地を譲渡する場合、譲渡年の1月1日には既に家屋がなくなっていることもあり、所有期間5年以上という要件を満たせないことがあります。しかし、この場合でも取り壊した年の1月1日時点において敷地の所有期間が5年を超えていれば、本特例の適用を受けることができます(措置通41-5-5)。
    譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。2024.5-27-1
    居住しなくなった家屋を譲渡する場合、居住しなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡しなければ、本特例の適用を受けることはできない。2023.9-26-1
    本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。2019.1-27-1
  3. 不適切。合計所得金額が3,000万円を超える年について適用を受けることができないのは繰越控除です。損益通算は、所得の多寡にかかわらず適用を受けることができます。譲渡損失を生じた年(損益通算)は所得制限ありませんが、その繰り越した損失を翌年以降に通算する(繰越控除)ときには所得制限があるということです(措置法41条の5の2第4項)。
    前年以前3年内の年において生じた本特例による損益通算後の譲渡損失の金額がある場合であっても、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、本特例による繰越控除の適用を受けることはできない。2019.1-27-4
  4. 不適切。本特例で損益通算と繰越控除の対象となる譲渡損失の額は、譲渡契約を締結した日の前日における住宅ローンの残高から譲渡対価を控除した額が限度となります(措置法41条の5の2第7項)。住宅ローンが残ってしまった部分に限り、損失とされるわけです。
    本特例の対象となる譲渡損失の金額は、譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該譲渡資産に係る住宅借入金等の金額の合計額が限度となる。2019.1-27-3
したがって適切な記述は[1]です。