FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問15

問15

個人契約の損害保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. Aさんの自家用車が自動車事故により全損し、Aさんが事故の相手方が加入する自動車保険の対物賠償保険から保険金を受け取った場合、Aさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。
  2. 自家用車を運転していたBさんが自動車事故により死亡し、Bさんが加入する自動車保険の人身傷害(補償)保険からBさんの遺族が保険金を受け取った場合、Bさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。
  3. Cさんが所有する家屋が火災により焼失し、所得税の雑損控除の適用を受ける場合、Cさんが加入する火災保険から受け取った保険金で補填される金額は、Cさんの申告する損失額から差し引く必要がある。
  4. Dさんが契約者(=保険料負担者)および被保険者である所得補償保険について2023年中に支払った保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。

正解 2

問題難易度
肢19.9%
肢249.5%
肢38.6%
肢432.0%

解説

  1. 適切。自己の相手方が加入する自動車保険の対人賠償保険や対物賠償保険から支払われる保険金は、所得税法における非課税所得です。
    Aさんが自家用車の運転中に交通事故により死亡し、Aさんの遺族が、Aさんが加入する自動車保険の人身傷害補償保険から保険金を受け取った場合、当該保険金のうち事故の相手方の過失割合に相当する金額は非課税となる。2022.9-14-1
    Bさんの自家用車が盗難に遭い、Bさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。2022.9-14-2
    自動車事故によりAさんが死亡し、Aさんの遺族に対して事故の相手方が加入する自動車保険の対人賠償保険から保険金が支払われた場合、Aさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-1
    自動車事故によりBさんの自家用車が全損し、Bさんに対して事故の相手方が加入する自動車保険の対物賠償保険から保険金が支払われた場合、Bさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-2
    自動車事故により自家用車を運転していたCさんが死亡し、Cさんの遺族に対してCさんが加入する自動車保険の人身傷害(補償)保険から保険金が支払われた場合、Cさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-3
    Dさんが所有する自家用車が盗難に遭い、Dさんに対してDさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金が支払われた場合、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-4
  2. [不適切]。自動車保険の人身傷害(補償)保険で支払われる保険金は、本人の過失割合分は自己の保険契約からの支払いなので相続税の課税対象となり、相手方の損害賠償部分(過失割合分)は非課税になります。
  3. 適切。雑損控除の控除額は、以下のいずれか多い額となります。損害額から保険金や損害賠償金等で補填される金額を差し引いた実損額をベースにして控除額を計算します。
    • (損害金額+災害関連支出額-保険金等の額)-総所得金額等×10
    • 災害関連支出額-保険金等の額-5万円
  4. 適切。医療保険や介護保険、所得補償保険などの疾病または身体の傷害等により支払われる保険のうち、医療費等支払事由に基因して支払われる保険は、介護医療保険料控除の対象になります。
    ※医療費等支払事由とは、①疾病・身体の傷害に起因して生じる医療費の支払い、②疾病・身体の傷害を原因とする人の状態、③疾病・身体の傷害による就業不能状態のいずれかであり、所得補償保険は③に該当しています。
    個人事業主であるCさんを契約者(=保険料負担者)および被保険者とする傷害保険の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。2015.1-14-3
したがって不適切な記述は[2]です。