FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問22

問22

国内ポートフォリオ運用において、リスク調整後収益率を測定するための各種手法の一般的な説明に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. トレイナーの測度は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。
  2. インフォメーション・レシオ(情報比)は、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。
  3. シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。
  4. ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から、 CAPM(資本資産評価モデル)による収益率(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率-安全資産利子率))を差し引いて求める。

正解 2

問題難易度
肢18.8%
肢263.9%
肢311.9%
肢415.4%

解説

ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価で問われる5つの手法について押さえて覚えておきましょう。
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  1. 適切。トレイナーの測度の算式は次の通りです。

     ポートフォリオの収益率-安全資産利子率β

    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。2016.1-21-c
    インフォメーション・レシオ(情報比)は、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。2014.9-22-2
    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から、 CAPM(資本資産評価モデル)による収益率(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率-安全資産利子率))を差し引いて求める。2014.9-22-4
  2. [不適切]。インフォメーション・レシオ(情報比)は、ベンチマークの収益率に対するポートフォリオの超過収益率をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して求めます。分母はβ値ではなくトラッキングエラーです。

    ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)

    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。2016.1-21-c
    トレイナーの測度は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。2014.9-22-1
    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から、 CAPM(資本資産評価モデル)による収益率(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率-安全資産利子率))を差し引いて求める。2014.9-22-4
  3. 適切。シャープ・レシオは、安全資産利子率に対する超過収益率をポートフォリオの標準偏差で除して求めます。

     ポートフォリオの収益率-安全資産利子率ポートフォリオの標準偏差

    資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率の算出にあたって、安全資産利子率は、一般に、当該ポートフォリオに組み入れる資産の過去の平均収益率を用いる。2019.1-21-1
    資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率の算出にあたって、安全資産利子率は、一般に、当該ポートフォリオに組み入れる資産の過去の平均収益率を用いる。2016.9-23-1
    シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。2016.1-21-b
    資本資産評価モデル(CAPM)によるポートフォリオの期待収益率の算出にあたって、安全資産利子率は、一般に、当該ポートフォリオに組み入れる資産の過去の平均収益率を用いる。2015.10-24-1
  4. 適切。ジェンセンの測度は、ポートフォリオの期待収益率から資本資産評価モデル(CAPM)の期待収益率を差し引いた値で評価します。

     ポートフォリオの収益率-資本資産評価モデル(CAPM)の収益率

    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。2016.1-21-c
    トレイナーの測度は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。2014.9-22-1
    インフォメーション・レシオ(情報比)は、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。2014.9-22-2
したがって不適切な記述は[2]です。