FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問6
問6
厚生年金保険における離婚時の年金分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「離婚等をした場合における特例」による標準報酬の改定を合意分割といい、「被扶養配偶者である期間についての特例」による標準報酬の改定を3号分割という。
- 合意分割では、離婚等をした当事者間において、標準報酬の改定または決定の請求をすることおよび請求すべき按分割合についての合意が得られない限り、請求することができない。
- 3号分割では、その請求をした日において離婚の相手方が障害厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の額の計算の基礎となった期間に係る厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)は分割の対象とならない。
- 離婚時の年金分割において分割の対象となる厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)は、3号分割では婚姻期間中のものに限られるが、合意分割では婚姻期間外のものについても対象となる。
- 離婚の相手方から分割を受けた厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)に係る期間は、分割を受けた者が老齢厚生年金の支給を受けるために必要となる受給資格期間に算入される。
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正解 2
問題難易度
肢116.9%
肢239.7%
肢322.3%
肢421.1%
肢239.7%
肢322.3%
肢421.1%
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:5.公的年金
解説
- 不適切。合意分割は、離婚等をした当事者双方の合意した割合で厚生年金記録を分割する制度です。この制度では、当事者間で協議が調わない、または協議をすることができないときは、家庭裁判所に申し立てることができます。このため、①当事者間で合意が成立したときのほか、②裁判所が按分割合が定めたときも請求することができます(厚生年金法78条の2)。
- [適切]。離婚の相手方が障害厚生年金の受給権者であるとき、障害厚生年金の計算の基礎となった期間の保険料納付記録は、3号分割の対象になりません。3号分割により障害を抱える人の年金を強制的に減額することは、障害給付の趣旨に合わないためです(厚年法78条の14)。
- 不適切。合意分割、3号分割のいずれも婚姻期間中(3号分割は2008年4月1日以後に限る)の厚生年金保険の保険料納付記録が分割対象です。婚姻期間以外の期間は分割の対象外です。合意分割における按分割合は、対象期間における離婚当事者双方の厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)の合計額の2分の1を上限として、離婚当事者双方の合意または裁判手続により定められる。(2018.1-4-1)
- 不適切。受給資格期間には算入されません。離婚の相手方から分割を受けた厚生年金保険の保険料納付記録は、年金額の算定の基礎となりますが、老齢厚生年金の受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間が10年以上)には算入されません。
そのほか、加給年金額の被保険者期間や遺族厚生年金の300月のみなし計算時の被保険者期間にも算入されません。これらの年金を受けるためには、自らの厚生年金の加入期間や国民年金保険料を納付した期間等によって受給資格期間を満たしていることが必要ということです。離婚の相手方から分割を受けた厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)に係る期間は、分割を受けた者が老齢厚生年金の支給を受けるために必要となる受給資格期間に算入される。(2023.9-5-3)離婚の相手方から分割を受けた厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)に係る期間は、分割を受けた者の老齢厚生年金の受給資格期間に算入される。(2018.1-4-3)
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