FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問41

問41

不動産の投資判断手法等に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
  1. IRR法は、対象不動産の内部収益率と対象不動産に対する投資家の期待収益率を比較して投資判断を行う手法であり、期待収益率が内部収益率を上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。
  2. NPV法は、対象不動産に対する投資額と現在価値に換算した対象不動産の収益価格を比較して投資判断を行う手法であり、NPVがゼロを上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。
  3. DSCRは、対象不動産から得られる収益による借入金の返済余裕度を評価する指標であり、DSCRがゼロを上回る場合、対象不動産から得られる収益だけで借入金を返済することができる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 1

問題難易度
肢138.9%
肢240.4%
肢311.4%
肢49.3%

解説

  1. 不適切。IRR法(内部収益率法)では、投資によって得られる収益の現在価値が投資額と同じになる割引率(内部収益率)を求め、その内部収益率が投資家の期待収益率を上回れば投資価値があると判断し、下回れば投資価値がないと判断します。投資適格とされるのは「期待収益率<内部収益率」の場合ですが、本肢は逆に説明しています。
    IRR法は、対象不動産の内部収益率と対象不動産に対する投資家の期待収益率を比較して投資判断を行う手法であり、期待収益率が内部収益率を上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。2023.5-41-3
    IRR法による投資判断においては、対象不動産の内部収益率が対象不動産に対する投資家の期待収益率を上回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。2019.5-41-c
  2. 適切。NPV法(正味現在価値法)は、投資が生み出す収益と投資額について、それぞれの発生時期に応じて現在価値に割り引いた額を比較して投資判断を行います。NPV(収益の現在価値-投資額の現在価値)がゼロを上回る場合に、その投資は有利であると判定します。
    NPV法は、対象不動産に対する投資額と現在価値に換算した対象不動産の収益価格を比較して投資判断を行う手法であり、NPVがゼロを上回る場合、その投資は投資適格であると判断することができる。2023.5-41-2
    NPV法による投資判断においては、対象不動産に対する投資額が現在価値に換算した対象不動産の収益価格を上回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。2019.5-41-b
  3. 不適切。ゼロではありません。DSCR(借入金償還余裕率)は、借入金の安全度を測る尺度で、元利金返済前の年間キャッシュフロー(純収益)を借入金の年間元利返済額で除した値であり、この比率が高いほど借入金返済に余裕があることを示します。DSCRが1.0超であれば「純収益>返済額」、逆に1.0未満であれば「純収益<返済額」となります。
したがって適切なものは「1つ」です。