FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問45
問45
民法における特別受益に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 父の相続が開始する1年前に、父から時価1,000万円の農地の贈与を受けた子が、当該農地について宅地造成を行って自宅を建築したことにより、父の相続時における当該宅地の時価が1,200万円となった場合、原則として、特別受益に係る贈与の価額は1,200万円となる。
- 母の相続が開始する3年前に、母から居住用不動産の贈与を受けた子が、母の相続において相続の放棄をした場合であっても、当該居住用不動産は、原則として、特別受益の持戻しの対象となる。
- 夫が妻に対し、夫婦で居住の用に供している不動産を贈与した場合に、当該夫婦の婚姻期間が10年以上であるときは、夫は、その贈与について特別受益の持戻し免除の意思を表示したものと推定される。
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 0(なし)
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正解 4
問題難易度
肢140.0%
肢221.4%
肢35.6%
肢433.0%
肢221.4%
肢35.6%
肢433.0%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:3.相続と法律
解説
- 不適切。特別受益に該当する生前贈与があるときは、その贈与時の価額を相続財産の価額に加えた上で、贈与を受けた相続人の相続分からその分を差し引くというのが、特別受益制度の仕組みです。つまり、贈与時の時価1,000万円が加算対象となります(民法903条1項)。
- 不適切。特別受益は相続人間の公平を図る制度です。相続の放棄をした人は、初めから相続人ではなかったとみなされるため、放棄者が受けた生前贈与は持戻しの対象になりません。共同相続人のなかに被相続人から居住用建物の贈与を受けた者がおり、相続開始の時において、受贈者の行為によって当該建物が滅失していた場合、当該建物は特別受益の持戻しの対象とはならない。(2023.5-46-3)
- 不適切。10年ではありません。婚姻期間20年以上の配偶者に対して居住用財産の遺贈・贈与をした場合、被相続人は、この遺贈・贈与に対して特別受益の持戻しの規定を適用しない意思表示をしたものと推定されます(民法903条4項)。特別受益の対象外とすることで、配偶者の相続分を確保する目的があります。婚姻期間が20年以上の夫婦において、夫が妻に対し、その居住用建物とその敷地を遺贈した場合、夫は、その遺贈について特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定される。(2024.9-44-2)婚姻期間が20年以上の夫婦において、夫が妻に対し、その居住用建物とその敷地を遺贈した場合、夫は、その遺贈について特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定される。(2023.5-46-4)
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