FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問33

問33

消費税における少額特例(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 少額特例は、一定規模以下の課税事業者が行った税込1万円未満の課税仕入れについては、適格請求書の保存がなくても、一定の事項を記載した帳簿の保存により仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置である。
  2. 少額特例の対象となるのは、課税事業者が、適格請求書発行事業者から行った課税仕入れに限られ、適格請求書発行事業者以外の事業者から行った課税仕入れについてはその対象とならない。
  3. 少額特例の対象となる事業者は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下または特定期間における課税売上高もしくは給与支払額の合計額が1,000万円以下の課税事業者である。
  4. 少額特例の適用を受けるためには、その適用に係る届出書を消費税の申告期限までに納税地の所轄税務署長に提出するとともに、課税仕入れに係る帳簿にその適用を受ける旨を明記しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢145.8%
肢210.6%
肢314.5%
肢429.1%

解説

  1. [適切]。少額特例は、一定規模以下の課税事業者が行った税込1万円未満の課税仕入れについて、適格請求書(インボイス)の保存がなくても、一定の事項(相手の氏名や名称、取引年月日、取引内容、支払対価の額)を記載した帳簿の保存で仕入税額控除の適用を受けることができる経過措置です。2023年10月1日から2029年9月30日までの期間の課税仕入れが適用対象となります。
  2. 不適切。少額特例は、仕入先が適格請求書発行事業者かどうかに関係なく利用できます。たとえ取引相手が免税事業者である場合であっても、少額特例の範囲内であれば仕入税額控除を行うことができます。
  3. 不適切。1,000万円ではありません。少額特例における「一定規模以下の課税事業者」とは、基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者をいいます。
    前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であっても、前事業年度開始の日から6カ月間の課税売上高または給与等支払額の合計額のいずれかが1,000万円を超える1年決算法人は、消費税の免税事業者となることができない。2018.9-33-1
  4. 不適切。少額特例を適用するにあたり、届出書の提出は一切不要です。対象となる事業者の要件(基準期間の課税売上高が1億円以下など)を満たしていれば、自動的に適用を受けられます。そのため、少額特例の適用を受ける旨を明記するような機会もありません。
したがって適切な記述は[1]です。