FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問40

問40

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 被相続人が居住していたマンションについて、区分所有建物である旨の登記がされている場合、当該マンションを相続により取得した被相続人の子は、その譲渡にあたって本特例の適用を受けることができない。
  2. 被相続人が居住していた家屋およびその敷地を相続により取得した被相続人の子が、当該家屋およびその敷地を譲渡する場合に、その譲渡の対価の額が1億円を超えるときは、本特例の適用を受けることができない。
  3. 被相続人が居住していた家屋およびその敷地を相続により取得した被相続人の子が、その譲渡にあたって本特例の適用を受ける場合に、当該家屋が母屋や離れのような複数の建築物からなるときは、それらの建築物のうち、被相続人が主として居住の用に供していた一の建築物のみが、本特例の対象となる被相続人居住用家屋に該当する。
  4. 被相続人が居住していた家屋およびその敷地を相続により取得した被相続人の子が、当該家屋について一定の耐震基準を満たさないまま、その敷地とともに譲渡する場合、本特例の適用を受けるためには、原則として、その譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年3月15日までの間に当該家屋の耐震改修または取壊しが行われる必要がある。

正解 4

問題難易度
肢120.6%
肢27.0%
肢325.9%
肢446.5%

解説

  1. 適切。本特例は、老朽した空き家の放置を防ぎ、早期の除却や活用を促すことを目的としています。このため、分譲マンションや区分所有登記された二世帯住宅など、建物内に別の人が住んでいる区分所有建物は対象外とされています。
  2. 適切。本特例の要件の一つは、売却代金が1億円以下であることです。1億円以下かどうかは、相続の時から譲渡期限(相続開始から3年後の年の12月31日)までの間に、分割売却した分や他の相続人が売却した分も含めた合計で判定します。
    被相続人の居住用家屋およびその敷地(地積500㎡、時価1億5,000万円)を相続により取得した被相続人の子が、居住用家屋を取り壊して敷地を2つに分筆(各250㎡)し、一方の敷地を7,500万円で譲渡し、残りの敷地を事業用借地権により賃貸した場合、その譲渡について、子は本特例の適用を受けることができない。2022.5-40-1
    被相続人Cさんが居住していた家屋およびその敷地を相続したCさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した前年に「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていた場合、長男は本特例の適用を受けることができない。2020.1-40-3
    2025年10月1日に相続が開始し、被相続人居住用家屋およびその敷地等を相続により取得した者は、2028年9月30日までに当該家屋およびその敷地等を譲渡しなければ、本特例の適用を受けることができない。2017.1-40-2
  3. 適切。被相続人が居住していた家屋が複数の建築物に分かれている場合、本特例の適用の対象となるのは、主として被相続人の居住用に供されていた1つの建築物(母屋部分)とその床面積に応じた土地の部分に限られます。
  4. [不適切]。3月15日ではありません。一定の耐震基準を満たさないまま家屋を敷地とともに譲渡する場合でも、買主が売買契約等に基づいて、譲渡日の翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを完了すれば、本特例の適用を受けることができます。
したがって不適切な記述は[4]です。