FP1級 2026年5月学科試験 問34

問34

不動産鑑定評価基準に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときは適用することができるものとされている。
  2. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法であり、賃貸用不動産または賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効とされている。
  3. 収益還元法において、収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する直接法と、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格をその発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する間接法がある。
  4. 取引事例比較法の適用にあたっては、多数の取引事例を収集する必要があり、当該取引事例は、原則として、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。

正解 3

解説

  1. 適切。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額です。
    原価法は、価格時点において対象不動産の再調達を想定した場合において必要とされる適正な原価の総額について減価修正を行って対象不動産の積算価格を求める手法である。2019.9-35-2
  2. 適切。収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法で、直接還元法とDCF法の2つがあります。賃貸不動産の価格を求める場合に特に有効な方法ですが、自用の不動産であっても賃貸を想定することにより適用することが可能です。
    収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の価格を求める手法であるため、自用の不動産には適用することはできない。2023.5-34-3
  3. [不適切]。収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類があります。直説法・間接法という区別はありません。
    直接還元法
    対象不動産の一期間の純収益を還元利回りによって還元することで収益価格を算出する手法
    ●対象不動産の収益価格=一期間の純収益還元利回り
    DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法
    一定の保有期間中に生み出される「純収益の現在価値の総和」と、保有期間終了後の「復帰価格(将来の転売価格)の現在価値」を合算して、投資不動産の収益価格を算出する手法
  4. 適切。取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正・時点修正を行い、かつ、地域要因の比較と個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量して、対象不動産の試算価格を求める手法です。取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされています。
    取引事例比較法は、時点修正が可能である等の要件を満たす取引事例について、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るものから選択するが、必要やむを得ない場合は、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るものから選択してもさしつかえない。2023.5-34-2
    取引事例比較法の適用にあたっては、多数の取引事例を収集する必要があるが、取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。2019.9-35-3
したがって不適切な記述は[3]です。