FP1級 2026年5月 応用編 問61
会社員のAさん(50歳)は、昨年母が死亡し、母および妻子とともに暮らしていた自宅(建物)およびその敷地である甲土地を相続により取得した。母の相続において、相続人はAさんのみであり、申告期限までに相続税の申告・納付は完了している。
Aさんは、駅近くに購入した新築マンションに引っ越す予定であり、現在の自宅(建物)および甲土地については引っ越し後に売却しようと考えていたが、先日、不動産会社の担当者から、甲土地は立地がよいので賃貸マンション経営を検討してはどうかとの提案を受けた。
甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
Aさんは、駅近くに購入した新築マンションに引っ越す予定であり、現在の自宅(建物)および甲土地については引っ越し後に売却しようと考えていたが、先日、不動産会社の担当者から、甲土地は立地がよいので賃貸マンション経営を検討してはどうかとの提案を受けた。
甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉

- 甲土地は400㎡の長方形の土地であり、第二種住居地域に属する部分は200㎡、第一種低層住居専用地域に属する部分は200㎡である。
- 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
- 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
- 幅員15mの県道は、建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は56mである。
- 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
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問61
Aさんが、自宅(建物)を取り壊して、下記の〈条件〉で甲土地を譲渡し、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
なお、譲渡所得の金額の計算上、取得費の算出にあたっては概算取得費を用いることとし、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
〈条件〉
なお、譲渡所得の金額の計算上、取得費の算出にあたっては概算取得費を用いることとし、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
- 課税長期譲渡所得金額はいくらか。
- 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。
〈条件〉
〈譲渡資産(甲土地)に関する資料〉
〈母の相続に関する資料〉
- 譲渡価額
1億2,000万円 - 所有期間
60年 - 取得費
不明 - 譲渡費用
580万円(自宅(建物)の取壊し費用、仲介手数料等)
〈母の相続に関する資料〉
- 相続人
Aさん(ほかに相続人はいない) - 甲土地の相続税評価額
3,600万円
※「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額 - Aさんの相続税の課税価格
7,000万円(債務控除200万円を控除した後の金額) - Aさんが納付した相続税額
480万円(贈与税額控除、相次相続控除の適用は受けていない) - 甲土地に係る相続登記関係費用
40万円(登録免許税、司法書士手数料等)
| ①円 |
| ②円 |
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正解
| ① 75,800,000(円) 120,000,000円×5%=6,000,000円 4,800,000円×36,000,000円70,000,000円+2,000,000円=2,400,000円 120,000,000円-(6,000,000円+2,400,000円+5,800,000円)-30,000,000円 =75,800,000円 |
| ② 11,735,700(円) 60,000,000円×10%+(75,800,000円-60,000,000円)×15%=8,370,000円
8,370,000円×2.1%=175,770円 8,370,000円+175,770円=8,545,700円(100円未満切捨て) 60,000,000円×4%+(75,800,000円-60,000,000円)×5%=3,190,000円 8,545,700円+3,190,000円=11,735,700円 |
分野
科目:E.不動産細目:5.不動産の譲渡に係る税金
解説
3つの特例の併用となりますが、次の手順で計算していきます。
まず加算する取得費を求めます。
相続税の取得費加算の特例は、相続税の申告期限後3年以内に相続財産を譲渡した場合に、譲渡人が納付した相続税額のうち譲渡資産に対応する部分の額を譲渡所得の計算上の取得費に加算できる特例です。
取得費として加算できるのは、Aさんが納付した相続税額480万円のうち甲土地に対応する部分です。対応する部分の割合は、相続税の課税価格に算入された金額をベースにして求めるので、分母としては債務控除前の金額、土地は「小規模宅地等の評価減の特例」適用後の金額を使います。
取得費加算額=相続税額×譲渡資産の課税価格譲渡人の相続税の課税価格+債務控除額
相続した甲土地に対応する部分の額は、
480万円×3,600万円7,000万円+200万円
=480万円×3,600万円7,200万円=240万円
次に特例適用前の譲渡所得の金額を求めます。譲渡所得の計算に必要な収入金額、取得費、譲渡費用を整理します。
1億2,000万円-(840万円+580万円)=1億580万円
3,000万円特別控除により、この金額から3,000万円が控除されるので、
1億580万円-3,000万円=7,580万円
よって、正解は75,800,000(円)となります。
〔②について〕
軽減税率の特例は、課税譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分の税率が下表のように軽減される特例です。
本問では譲渡所得の金額が6,000万円超なので、6,000万円以下の部分と6,000万円を超える部分に区分して税額を計算します。
【①所得税等】
【②住民税】
【合計(①+②)】
8,545,700円+3,190,000円=11,735,700円
よって、正解は11,735,700(円)となります。
- 取得費加算の特例で加算される取得費を求める
- 取得費加算を加味して譲渡所得の金額を計算する
- 譲渡所得の金額に3,000万円特別控除を適用する
- 残った金額に軽減税率の特例を使って税額を求める
まず加算する取得費を求めます。
相続税の取得費加算の特例は、相続税の申告期限後3年以内に相続財産を譲渡した場合に、譲渡人が納付した相続税額のうち譲渡資産に対応する部分の額を譲渡所得の計算上の取得費に加算できる特例です。
取得費として加算できるのは、Aさんが納付した相続税額480万円のうち甲土地に対応する部分です。対応する部分の割合は、相続税の課税価格に算入された金額をベースにして求めるので、分母としては債務控除前の金額、土地は「小規模宅地等の評価減の特例」適用後の金額を使います。
取得費加算額=相続税額×譲渡資産の課税価格譲渡人の相続税の課税価格+債務控除額
相続した甲土地に対応する部分の額は、
480万円×3,600万円7,000万円+200万円
=480万円×3,600万円7,200万円=240万円
次に特例適用前の譲渡所得の金額を求めます。譲渡所得の計算に必要な収入金額、取得費、譲渡費用を整理します。
- 収入金額 1億2,000万円
- 取得費
不明なので概算取得費 1億2,000万円×5%=600万円
取得費加算の特例の額 240万円
合計 600万円+240万円=840万円
※概算取得費を用いるため相続登記関連費用35万円は合算できません。ダミーの項目なので注意しましょう - 譲渡費用 580万円
1億2,000万円-(840万円+580万円)=1億580万円
3,000万円特別控除により、この金額から3,000万円が控除されるので、
1億580万円-3,000万円=7,580万円
よって、正解は75,800,000(円)となります。
〔②について〕
軽減税率の特例は、課税譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分の税率が下表のように軽減される特例です。

【①所得税等】
- 6,000万円以下の部分 60,000,000円×10%=6,000,000円
- 6,000万円超の部分 15,800,000円×15%=2,370,000円
- 小計 6,000,000円+2,370,000円=8,370,000円
- 復興特別所得税 8,370,000円×2.1%=175,770円
【②住民税】
- 6,000万円以下の部分 60,000,000円×4%=2,400,000円
- 6,000万円超の部分 15,800,000円×5%=790,000円
【合計(①+②)】
8,545,700円+3,190,000円=11,735,700円
よって、正解は11,735,700(円)となります。
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