不動産の譲渡に係る税金(全36問中2問目)

No.2

「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年9月試験 問40
  1. 都市計画区域内に所在する低未利用土地等を譲渡する場合、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えていなければ、本特例の適用を受けることはできない。
  2. 本特例は、個人が低未利用土地等を譲渡した場合に適用を受けることができるが、法人が低未利用土地等を譲渡した場合は適用を受けることはできない。
  3. 市街化区域内に所在する低未利用土地が譲渡され、その譲渡対価の額が600万円であった場合、本特例の適用を受けることはできない。
  4. 低未利用土地が譲渡された後、その土地が露天のコインパーキングとして利用された場合、本特例の適用を受けることはできない。

正解 3

問題難易度
肢114.4%
肢225.1%
肢334.6%
肢425.9%

解説

  1. 適切。本特例は、個人が譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えている都市計画区域内にある低未利用土地等を譲渡した場合に、譲渡所得の金額から100万円を控除するものです(措置法35条の3第1項)。
    【参考】低未利用土地とは、居住用や業務用に使用されておらず、または使用されていてもその利用の程度が周辺地域の同一用途の土地と比較して著しく劣っている土地です(土地基本法13条)。
    本特例の対象となる土地等は、都市計画区域内にある低未利用土地または当該低未利用土地の上に存する権利で、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えているものとされている。2021.1-41-1
    居住の用に供している家屋とその敷地を譲渡した場合に、譲渡した年の1月1日において、家屋の所有期間が10年以下で、敷地の所有期間が10年超であるときは、家屋および敷地に係る譲渡所得はいずれも本特例の適用を受けることができない。2020.9-39-1
  2. 適切。本特例は、個人が所有する低未利用土地等を有効活用することを目的とした、所得税に関する特例です。個人の譲渡所得のみに対して適用され、法人は適用を受けることができません(措置法35条の3第1項)。
    本特例の適用を受けるためには、低未利用土地等の譲渡の対価の額が、当該低未利用土地等の譲渡とともにした当該低未利用土地の上にある資産の譲渡の対価を含めて、1,000万円以下でなければならない。2021.1-41-2
  3. [不適切]。本特例の適用を受けるためには、譲渡した金額が当該低未利用土地の上にある資産の譲渡の対価を含めて、500万円(市街化区域と非線引き区域内で用途地域が定められた区域は800万円)以下であることが要件になります(措置法35条の3第2項)。
    譲渡資産の譲渡に係る対価の額が1億円を超える場合は、本特例の適用を受けることができない。2015.10-40-3
  4. 適切。本特例の適用を受けるには、譲渡後にその低未利用土地等が「利用」されることが要件となります。「利用」は低未利用土地の状態が解消される程度には必要であり、譲渡後に青空駐車場や資材置場等として使うことは、法の求める「利用」に該当しないため、本特例の適用を受けることができません。なお、駐車場であっても立体駐車場や店舗駐車場の敷地に供される場合は、適用対象となります。
したがって不適切な記述は[3]です。