贈与と税金(全46問中38問目)

No.38

相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2015年9月試験 問43
  1. 2023年4月に85歳の祖父と62歳の父からそれぞれ贈与を受けた者(30歳)は、それぞれの贈与に係る財産について相続時精算課税の適用を受けることができる。
  2. 2022年4月に父から1,500万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けた子が、2023年4月に父から100万円の贈与を受けた場合、子は、2024年2月1日から3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に贈与税の申告書を提出しなければならない。
  3. 相続時精算課税の特定贈与者が死亡した場合、相続時精算課税適用者は、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算した金額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に納税地の所轄税務署長に相続税の申告書を提出しなければならない。
  4. 特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡した場合に、相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみであるときは、相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利義務は消滅する。

正解 3

問題難易度
肢17.8%
肢211.7%
肢365.7%
肢414.8%

解説

  1. 適切。受贈者は、特定贈与者ごとに暦年課税にするか相続時精算課税の適用を受けるかを選択できます。したがって、85歳の祖父および62歳の父のそれぞれの贈与財産について相続時精算課税の適用を受けることができます。
    2023年中に75歳の祖父から23歳の孫に現金500万円を贈与した場合、当該受贈財産について相続時精算課税制度の適用を受けることができる。2014.9-43-3
  2. 適切。相続時精算課税制度の適用を受けると暦年課税の基礎控除の適用がなくなるため、それ以降は受けた贈与の額にかかわらず贈与税の申告書を提出しなければなりません。贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間です。
    贈与税の申告書は、原則として、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。2022.1-44-1
    贈与税の申告は、原則として、贈与を受けた者が、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに行うこととされている。2014.9-42-1
    教育資金の非課税特例の適用を受けるための申告書は、取扱い金融機関の営業所等において受理された日に、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出されたものとみなされる。2014.1-48-1
  3. [不適切]。相続時精算課税の適用を受けた贈与された財産は、贈与時の価額で相続税の課税価格に加算しますが、加算後の相続税の課税価格が、遺産に係る基礎控除額以下であれば申告は不要となります。
    相続時精算課税の特定贈与者の相続において、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算した金額が遺産に係る基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要である。2021.9-43-3
  4. 適切。特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者(受贈者のこと)が死亡した場合には、その者の相続人が相続時精算課税に関する権利義務を承継するのが原則ですが、相続人の中に特定贈与者がいる場合、その特定贈与者は権利義務を承継しません。自分が死んだときの精算処理を自分ですることになってしまうからです。このため、特定贈与者のみが相続人となるケースでは、死亡した相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の権利義務は消滅するという帰結になります(相続税法21条の17)。
    相続時精算課税の特定贈与者の死亡前に相続時精算課税適用者が死亡し、特定贈与者がその相続時精算課税適用者の相続人である場合、当該特定贈与者は相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利または義務を承継しない。2023.5-44-2
    相続時精算課税の特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡し、特定贈与者がその相続時精算課税適用者の相続人である場合、相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利または義務は当該特定贈与者が承継する。2020.9-43-4
したがって不適切な記述は[3]です。