FP1級過去問題 2021年1月学科試験 問42

問42

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、受贈者が取得する住宅の対価等の額に含まれる消費税等の税率は10%であるものとする。
  1. 本特例の対象となる住宅取得等資金には、住宅用家屋の取得等の対価に充てるための金銭のほか、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭が含まれる。
  2. 2023年6月に父母それぞれから住宅取得等資金の贈与を受け、同年10月に一定の省エネ等住宅に該当する住宅用家屋の新築等に係る契約を締結して本特例の適用を受けた場合、父母から受けた贈与についてそれぞれ1,500万円まで贈与税が非課税とされる。
  3. 祖父から贈与を受けた住宅取得等資金により取得した店舗併用住宅について、店舗として使用する部分の床面積が100㎡で、住宅として使用する部分の床面積が150㎡である場合、本特例の適用を受けることはできない。
  4. 祖父から贈与を受けた住宅取得等資金により住宅用家屋の新築に先行してその敷地の用に供される土地を取得し、本特例の適用を受ける場合、贈与を受けた年の12月31日までにその土地の上に住宅用家屋を新築しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢126.6%
肢223.8%
肢333.8%
肢415.8%

解説

  1. 不適切。本特例で非課税となる贈与は、居住用家屋の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭の贈与に限られています。住宅ローンの返済に充てるための金銭のほか、不動産仲介手数料・不動産取得税・登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した附随費用は「住宅取得等資金」に含まれず、非課税の対象とはなりません。
    本特例の対象となる住宅取得等資金には、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は含まれるが、住宅ローンの返済に充てるための金銭は含まれない。2019.1-43-1
  2. 不適切。本特例の非課税限度額は、受贈者1人について非課税となる限度額を示しています。贈与者それぞれについて限度額まで非課税となるわけではありません。
    2023年8月に住宅取得等資金の贈与を受け、同年12月に一定の省エネ等住宅に該当する住宅用家屋の新築等に係る契約を締結して本特例の適用を受けた場合、本特例による非課税限度額は1,000万円である。2020.1-43-3
    2023年中に住宅取得等資金の贈与を受け、同年中に免震建築物に該当することが証明された住宅用家屋を取得して本特例の適用を受けた場合、本特例による贈与税の住宅資金非課税限度額は、受贈者1人につき1,000万円である。2015.10-43-3
  3. [適切]。本特例の適用を受けるには、取得した家屋の床面積が40㎡(合計所得金額1,000万円超の受贈者は50㎡)以上240㎡以下、かつ、床面積の2分の1以上が居住の用に供するものでなければなりません。設問の店舗併用住宅の場合、床面積の2分の1以上が居住の用に供するものですが、店舗と住宅の床面積は合計250㎡で「床面積240㎡以下」の要件を満たさないため、本特例の適用を受けることはできません。
  4. 不適切。住宅用家屋の新築には、新築とともにその敷地の用に供される土地等または新築に先行してその敷地の用に供されることとなる土地等が対象になりますが、本特例の適用を受ける場合は、原則として、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその土地に住宅用家屋を新築しなければなりません。
したがって適切な記述は[3]です。