FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問43

問43

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、2024年4月1日以後に締結する教育資金管理契約にかかるものとする。
  1. 教育資金の一括贈与に係る信託受益権等を取得した日の属する年の前年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える受贈者は、本特例の適用を受けることができない。
  2. 本特例の対象となる教育資金には、学校等に直接支払われる入学金や授業料などの金銭のほか、学校等以外の者に教育に関する役務の提供の対価として直接支払われる金銭も含まれ、その範囲に受贈者の年齢による違いはない。
  3. 本特例の適用を受けた受贈者が学校等に在学している場合または教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合には、受贈者の年齢によって教育資金管理契約が終了することはない。
  4. 贈与者が教育資金管理契約の期間中に死亡した場合であっても、贈与者の死亡による課税関係は生じず、当該教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額が相続税の課税対象となることはない。

正解 1

問題難易度
肢161.8%
肢213.5%
肢39.4%
肢415.3%

解説

  1. [適切]。金銭等を取得した日の前年の合計所得金額が1,000万円を超える受贈者は、本特例の適用を受けられません。
    受贈者の所得制限が適用されるのは2019年4月以後に行われる贈与です。
  2. 不適切。本特例では、学校等に直接支払われる入学金や授業料等ついては1,500万円まで、学校等以外の者に教育に関する役務の提供の対価として直接支払われる金銭については500万円まで非課税になります。ただし、受贈者が23歳以上の場合、学校等以外の者に支払われる金銭については、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限られています(塾や習い事はダメ)。
  3. 不適切。本特例は、受贈者が30歳未満の方が教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属から信託受益権を取得した場合に適用される特例なので、30歳(在学中であれば40歳)に達すると教育資金管理契約が終了になります。管理残額があった場合、契約終了時にその額の贈与があったこととされます。
  4. 不適切。契約期間中に贈与者が死亡した場合において、受贈者が2021年4月1日以後にその贈与者から取得した信託受益権等についてこの非課税制度の適用を受けたことがあるときは、原則として、管理残額が相続等によって取得したものとみなされます。
    ただし、受贈者が贈与者の死亡日において以下のいずれかに該当する場合は、管理残額を相続財産に算入する必要はありません。
    1. 23歳未満である場合
    2. 学校等に在学している場合
    3. 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合
    上記に該当しない場合は相続税の課税対象となるので、記述は誤りです。
したがって適切な記述は[1]です。