相続と税金(全56問中2問目)

No.2

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国籍と国内住所を有する個人であり、債務等は相続により財産を取得した相続人が負担したものとする。
2024年1月試験 問45
  1. 被相続人に係る固定資産税について、相続開始時点で納期限が到来していない未払いの金額は債務控除の対象となる。
  2. 被相続人に係る住民税について、相続開始時点で納期限が到来していない未払いの金額は債務控除の対象となる。
  3. 被相続人に係る所得税の確定申告において、相続人が所得税を過少に申告したために発生した不足分の所得税および加算税は債務控除の対象となるが、延滞税は債務控除の対象とならない。
  4. 被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものは債務控除の対象とならない。

正解 3

問題難易度
肢18.4%
肢212.0%
肢362.4%
肢417.2%

解説

  1. 適切。固定資産税は、毎年1月1日に市町村の固定資産税課税台帳に所有者として登録されている者に課されます。通常4回に分けて納付しますが、すでに被相続人の納税義務は確定しているので、納期限が到来していない分についても債務控除の対象となります。
    被相続人は、所有していた不動産の2023年度の固定資産税を4期に分けて支払っており、第2期分支払終了後に相続が開始した場合、相続開始時に納期限が到来していない第3期・第4期の固定資産税は、債務控除の対象となる。2022.1-47-4
    被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納期限が到来していない未払いの金額がある場合、その未払いの金額は債務控除の対象となる。2021.1-46-4
    被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納付期限が到来していない未払いの金額は、債務控除の対象となる。2015.10-47-3
    被相続人が生前に購入した墓石や墓地の購入代金で、相続開始時点において未払いの金額は、債務控除の対象となる。2015.10-47-4
    被相続人は所有する不動産の2023年度の固定資産税を4期に分けて支払っており、第1期分支払終了後に相続が開始した場合、相続開始時点で納期が到来していない第2~4期分の固定資産税は、債務控除の対象となる。2015.1-46-2
  2. 適切。相続開始の際に納税義務が確定している公租公課は、納期限が到来していない分も含めて債務控除の対象です。したがって、住民税の未払金も債務控除の対象となります。
    被相続人から受け継いだ裁判において、相続開始から2カ月経過後に成立した和解に基づいて相続人が支払った和解金は、債務控除の対象となる。2017.9-46-4
  3. [不適切]。不足分の所得税は債務控除の対象となりますが、加算税、延滞税、利子税はいずれも債務控除の対象になりません。もしこれらを債務控除すれば、罰金やペナルティとしての意味が一部失われてしまうためです(相続税法令3条)。
  4. 適切。墓所や祭具は相続税法上の非課税財産とされ、これらの取得・維持・管理のために生じた債務の金額は債務控除の対象外です。よって、墓碑の購入費の未払い金は債務控除の対象となりません(相基通13-6)。
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象となる。2021.1-46-1
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象とならない。2019.5-46-3
    被相続人が生前に購入した不動産について、相続開始から3カ月経過後に届いた納税通知書に基づいて相続人が納付した不動産取得税は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-1
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担した未払代金は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-2
したがって不適切な記述は[3]です。