FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問45

問45

成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。
  2. 被保佐人が遺言書を作成するためには、保佐人の同意を得なければならない。
  3. 家庭裁判所が補助人に代理権を付与する旨の審判を行う場合、被補助人以外の者からの請求によるときは、被補助人の同意がなければならない。
  4. 成年後見人は、家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てて認められれば、成年被後見人の財産のなかから審判で決められた報酬を受け取ることができる。

正解 2

問題難易度
肢14.3%
肢271.3%
肢318.0%
肢46.4%

解説

  1. 適切。成年被後見人が自ら行った法律行為は、本人または成年後見人が取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為や、成年被後見人が詐術を用いた場合については取消しの対象外とされています(民法9条、民法21条)。
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行ったすべての法律行為について、取り消すことができる。2024.1-43-2
    任意後見人は、任意後見契約に定めた事項に関する被後見人の法律行為について、代理権および取消権を有する。2021.5-44-4
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。2018.1-44-2
  2. [不適切]。被保佐人は、財産上の重要な行為をするときに保佐人の同意を得る必要があります。遺言書の作成は保佐人の同意を得なければならない行為に該当しないので、保佐人の同意は不要です(民法13条1項)。また遺言の作成は、行為能力ではなく意思能力があればできるとされているので、制限行為能力者であっても作成可能です。
  3. 適切。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です。補助開始の審判を受けるのは事理弁識能力が不十分な者とされており、一定程度の判断能力があるため、本人の意思を尊重する趣旨があります(民法17条2項)。なお、後見・保佐については本人の同意は不要です。
  4. 適切。成年後見人は、家庭裁判所の審判を受けることにより、被後見人の財産の中から相当な報酬を受けることができます(民法862条)。
    成年後見人は、家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てて認められれば、成年被後見人の財産のなかから審判で決められた報酬を受け取ることができる。2018.1-44-4
したがって不適切な記述は[2]です。