FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問24(改題)

問24

金融商品の販売および取引等に係る関連法規に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 金融サービスの提供に関する法律では、金融商品販売業者等の重要事項の説明義務違反により顧客に損害が生じた場合の損害賠償責任および損害額の推定について規定されている。
  2. 消費者契約法による消費者の消費者契約の取消権は、消費者が追認をすることができる時から1年を経過したとき、あるいは消費者契約の締結時から5年を経過したときに消滅する。
  3. 金融商品取引法では、金融商品取引業者等は、金融商品取引行為について、顧客(特定投資家を除く)の知識、経験、財産の状況および金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当な勧誘を行ってはならないとされている。
  4. 金融商品取引法では、金融商品取引契約を締結しようとする金融商品取引業者等は、あらかじめ顧客(特定投資家を除く)に契約締結前交付書面を交付しなければならないとされているが、顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合には、金融商品取引業者等に対する書面交付義務は免除される。

正解 4

問題難易度
肢15.6%
肢29.7%
肢33.0%
肢481.7%

解説

  1. 適切。金融サービス提供法では、金融商品販売業者等が重要事項説明をしなかったこと、または断定的な判断の提供等により生じた顧客の損害を賠償しなければならない旨を定めています(金サ法5条)。そして顧客に生じた損害額は「元本欠損額」と推定するとしています(金サ法6条)
  2. 適切。消費者は、事業者の不正な勧誘により誤認・困惑および通常の分量を著しく超える契約をしたとき、消費者契約法に基づき当該契約を取り消すことができます。この取消権を行使することができる期間は以下の通りです(消費者契約法7条1項)。
    • 消費者が追認をすることができる時から1年間
    • 当該消費者契約の締結の時から5年間
    追認できるときから1年となったのは2017年(平成29年)6月に施行された改正消費者契約法からです。それ以前は6カ月でした。
    消費者契約法による消費者の消費者契約の取消権は、原則として、消費者が追認をすることができる時から1年間行わないとき、または消費者契約の締結時から5年を経過したときに消滅する。2022.1-24-a
    消費者契約法による消費者の消費者契約の取消権は、原則として、消費者が追認をすることができる時から6カ月間行わないとき、または消費者契約の締結時から5年を経過したときに消滅する。2021.1-24-2
    消費者が消費者契約法に基づく消費者契約の取消権を行使する場合、行使することができる期間は、消費者が追認をすることができる時から6カ月間または当該消費者契約の締結の時から5年間とされている。2019.1-23-4
  3. 適切。金融商品取引法では、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行うことを禁止しています。いわゆる「適合性の原則」の条項です(金商法40条)。
  4. [不適切]。金融商品取引業者等は、金融商品取引契約の締結前に所定の事項を記載した書面を顧客に交付しなければなりません(金商法37条1項)。これは顧客から交付を要しない旨の意思表示があった場合でも省略することはできません。
    金融サービス提供法では販売前の重要事項説明について、重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思表明があったときは説明を省略できる旨を定めていますが、この規定と金融取引商品法の契約前書面の交付を混同しないように注意しましょう(金サ法3条7項2号)。
    金融商品取引法では、金融商品取引業者等が顧客に交付する契約締結前交付書面について、顧客から当該書面の交付を要しない旨の意思表示があった場合には、当該書面の交付を省略することができるとされている。2021.1-24-3
したがって不適切な記述は[4]です。