FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問19

問19

国債に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 2016年5月以降に発行された個人向け国債は、発行月の6カ月後の15日に一律6カ月分の利子が支払われるため、発行日が15日以外の場合、購入者は、その購入時に初回の利子計算期間(6カ月間)に満たない日数分の利子相当額を支払う必要がある。
  2. 変動金利型の個人向け国債は、各利払期における適用利率(年率)が基準金利に0.66を乗じて計算されるが、最低保証があり、適用利率が0.10%を下回ることはない。
  3. 2013年4月以降に発行された物価連動国債は、元金額が全国消費者物価指数に連動して増減し、償還額は償還時点での想定元金額となるが、償還時の想定元金額が額面金額を下回る場合は額面金額にて償還される。
  4. 2015年12月以前に発行された利付国債の利子を個人が受け取った場合、その利子は20.315%の税率による源泉分離課税の対象となり、上場株式等の譲渡損失等と損益通算することはできない。

正解 3

問題難易度
肢116.9%
肢25.0%
肢359.6%
肢418.5%

解説

  1. 不適切。個人向け国債の利払日は、原則として、毎年の発行月及び発行月の6カ月後の15日になります。2016年5月発行分以降は、日割り計算して支払われることになったので、実際に保有した期間に応じて支払われます。それ以前は保有期間が6カ月に満たない場合、その満たない日数に係る利子を「初回利子調整額」として購入時に支払う必要がありました。
  2. 不適切。変動金利型の個人向け国債のおける利率は「基準金利×0.66」で計算されますが、0.05%の最低保証があります。0.10%ではありません。
    変動金利型の個人向け国債の各利払期における適用利率(年率)は、基準金利に0.66を掛けた値であるが、0.05%が下限とされ、その利払日は、原則として毎年の発行月および発行月の半年後の15日である。2021.1-18-2
  3. [適切]。物価連動国債とは、物価動向に合わせて元本が変わる国債で、満期まで利率は変わることはありませんが、元本が物価の変動に合わせて変動するため、受け取れる利息が増減する仕組みです。
    償還額は、償還時点での想定元金額となりますが、2013年4月以降に発行される物価連動国債には、償還時の連動係数が1を下回る場合、額面金額にて償還される元本保証(フロア)が設定されています。
  4. 不適切。2016年(平成28年)より金融所得一体課税が開始されましたが、それ以前に取得した利付国債の利子、譲渡益及び償還差益についても税率20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%)の申告分離課税の対象となっており、上場株式等の譲渡損失等と損益通算することができます。
したがって適切な記述は[3]です。