FP1級過去問題 2017年1月学科試験 問47

問47

相続税の申告期限において、相続財産の全部または一部について遺産分割協議が成立していない場合の相続税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 相続財産が未分割の場合、原則として、共同相続人が民法に規定する相続分に従って相続財産を取得したものとして計算した相続税を申告期限までに納付しなければならないが、申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、相続税の納付が最長で3年間猶予される。
  2. 未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。
  3. 未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも減少した相続人が、その差額の還付を受けようとする場合、原則として、遺産分割協議が成立した日の翌日から1年以内に納税地の所轄税務署長に更正の請求をする必要がある。
  4. 未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも増加した相続人が、修正申告書を納税地の所轄税務署長に提出してその差額を納付する場合、原則として、延滞税や過少申告加算税は課されない。

正解 4

問題難易度
肢116.6%
肢215.6%
肢312.0%
肢455.8%

解説

  1. 不適切。「申告期限後3年以内の分割見込書」は、申告期限を過ぎた場合でも3年以内に分割して申告することで、配偶者の相続税の軽減等の相続税の課税価格計算の特例の適用を受けるための手続きであって、相続税の納付が3年間猶予されるわけではありません。この場合、法定相続分で相続したと仮定した場合の相続税額を申告期限までに納付する必要があります(未分割申告)。
    相続財産(預貯金と土地)が未分割の場合、原則として、共同相続人が民法に規定する相続分に従って相続財産を取得したものとして計算した相続税を申告期限までに納付しなければならないが、相続人は未分割財産を物納によって相続税の納付をすることができる。2023.1-46-1
  2. 不適切。財産が未分割の場合には法定相続分で相続したと仮定した場合の相続税を申告期限までに納付します。その後成立した遺産分割協議に従って再計算した各人の納付相続税額が、申告額よりも多かった場合には修正申告して不足分を納付し、少なかった場合には更正の請求をして税金を還付を受けることになります。共同相続人間で勝手に精算することは認められていません。また「相続税額に変更がない旨の申出書」は存在しません。
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。2023.1-46-2
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも減少した相続人が、その差額の還付を受けようとする場合、原則として、遺産分割協議が成立した日の翌日から1年以内に納税地の所轄税務署長に更正の請求をする必要がある。2017.1-47-3
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも増加した相続人が、修正申告書を納税地の所轄税務署長に提出してその差額を納付する場合、原則として、延滞税や過少申告加算税は課されない。2017.1-47-4
  3. 不適切。申告期限後の分割により、相続税額の再計算により納付すべき相続税額が減った相続人は、4カ月以内に更正の請求を行うことで納め過ぎの税金の還付を受けられます。
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。2023.1-46-2
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。2017.1-47-2
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも増加した相続人が、修正申告書を納税地の所轄税務署長に提出してその差額を納付する場合、原則として、延滞税や過少申告加算税は課されない。2017.1-47-4
  4. [適切]。申告期限後の分割により、納付すべき相続税額が増えた相続人は修正申告を行って差額を納付します。通常の期限後申告では延滞税が課され、税務署の調査を受けた後の修正申告では過少申告加算税が課されますが、この場合には延滞税や過少申告加算税は課されないことになっています。
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。2023.1-46-2
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した共同相続人が納付すべき相続税の合計額が、既に納付した相続税の合計額と同額である場合、「相続税額に変更がない旨の申出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、共同相続人間で負担した相続税の増差額を精算することが認められる。2017.1-47-2
    未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付後、成立した遺産分割協議に従って計算した相続税の納付税額が既に納付した相続税額よりも減少した相続人が、その差額の還付を受けようとする場合、原則として、遺産分割協議が成立した日の翌日から1年以内に納税地の所轄税務署長に更正の請求をする必要がある。2017.1-47-3
したがって適切な記述は[4]です。