FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問34

問34

筆界特定制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 筆界特定制度は、筆界特定登記官が土地の筆界の現地における位置を特定する制度であり、筆界特定により各土地の所有者が有する所有権の及ぶ範囲が確定する。
  2. 隣接する土地との筆界は、筆界特定制度によらずに、各土地の所有者同士が合意のうえ、連名による公正証書等による書面により変更することもできる。
  3. 隣接する土地との筆界について筆界特定の申請をする場合、あらかじめ隣接する土地の所有者の承諾を得た場合を除き、各土地の所有者が共同して申請をしなければならない。
  4. 筆界特定書の写しは、隣地所有者などの利害関係を有する者でなくても、対象となった土地を管轄する登記所においてその交付を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢14.8%
肢23.5%
肢310.4%
肢481.3%

解説

「筆界」とは、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた登記上の境界線です。筆界特定制度は、土地の所有者などの申請に基づいて、筆界特定登記官が現地における土地の筆界の位置を公的に特定する制度です。

FP試験における筆界特定制度の出題ポイントは次の通りです。
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  1. 不適切。筆界特定は、登記上の境界線の現地での位置を特定するものであり、所有権の及び範囲を決定するものではありません。
    筆界特定とは、土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線(筆界)の現地における位置を特定することであり、筆界特定により所有権の及ぶ範囲が確定する。2015.9-34-1
  2. 不適切。筆界は、所有者同士の同意で変更することはできません。
    一筆の土地およびこれに隣接する他の土地との筆界は、筆界特定登記官による筆界特定のほか、当該土地の所有者同士が合意のうえ、連名による公正証書等による書面により変更することができる。2015.9-34-2
    筆界は、利害関係を有する土地の所有者同士が合意し、公正証書等による書面により変更することができる。2014.9-35-2
  3. 不適切。筆界特定は、土地の所有者であれば相手方の承諾なしに単独で申請することが可能です。
  4. [適切]。筆界特定書の写しは、利害関係の有無にかかわらず誰でも交付請求できます。
    筆界特定書の写しは、隣地所有者などの利害関係を有する者でなくても、対象となった土地を管轄する法務局または地方法務局においてその交付を受けることができる。2019.9-34-3
    筆界特定がなされた場合、対象となった土地の登記記録にその旨が記録されるが、筆界特定書の写しは、隣地所有者等の利害関係を有する者でなくても、対象となった土地を管轄する登記所においてその交付を受けることができる。2015.9-34-4
    筆界特定書の写しは、隣地所有者等の利害関係を有するものでなくても、その交付を受けることができる。2014.9-35-4
したがって適切な記述は[4]です。