FP1級過去問題 2018年9月学科試験 問23(改題)

問23

2024年以降のNISA(特定非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、特定非課税累積投資契約に係る非課税口座をNISA口座といい、当該NISA口座に設定される特定非課税管理勘定を「成長投資枠」という。また、2023年以前の一般NISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる勘定を一般NISA勘定という。
  1. NISA口座の成長投資枠に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間240万円であり、その配当金や譲渡益等が非課税となる期間は無期限とされている。
  2. 2025年中に開設したNISA口座の非課税管理勘定に上場株式を受け入れた場合であっても、その翌年中に別の金融機関にNISA口座を開設して、当該NISA口座に非課税管理勘定を設定することは可能である。
  3. 2023年以前に開設された一般NISA勘定に受け入れられている上場株式や公募株式投資信託は、非課税期間終了後、その翌年に同一の金融機関に開設するNISA口座の成長投資枠に移管することで、移管時点の時価にかかわらず、非課税保有を継続することができる。
  4. NISA口座に受け入れた上場株式の配当金を個別銘柄指定方式により銀行口座で受け取った場合、当該配当金は非課税とはならないが、所定の要件を満たせば、確定申告により総合課税を選択して配当控除の適用を受けることができる。

正解 3

問題難易度
肢13.0%
肢218.0%
肢344.3%
肢434.7%

解説

  1. 適切。成長投資枠は、上場株式・投資信託・REIT等を投資対象とし、年間240万円まで、かつ非課税保有限度額の1,200万円までの投資から得られる配当益や譲渡益が、一生涯を通じて非課税となるものです。
    つみたて投資枠を通じて購入することができる公募株式投資信託等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その分配金や譲渡益等の非課税期間は無期限である。2021.1-23-2
    ジュニアNISA口座に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金等や譲渡益等の非課税期間は、当該非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間である。2019.5-23-2
    つみたて投資枠の非課税投資額の上限(非課税枠)は年間120万円であるが、使用されなかった非課税枠がある場合は翌年に繰り越すことができる。2014.1-21-3
  2. 適切。NISA口座を開設する金融機関は、前年の10月1日からその年の9月30日までに手続きを行うことで1年単位で変更することが可能ですが、既にその年に買付けを行っている場合は変更することはできません。また、同一年中に成長投資枠とつみたて投資枠を別々の金融機関に設定することはできません。
    2025年中に開設したNISA口座に設けられた非課税管理勘定に上場株式を受け入れた場合でも、その翌年中に別の金融機関にNISA口座を開設し、当該NISA口座に非課税管理勘定を設定することができる。2015.1-18-3
  3. [不適切]。一般NISAから新NISA制度の非課税枠にロールオーバーすることはできません。2023年までの一般NISA口座では、非課税期間の5年間が終了したときに、その時価にかかわらず翌年の非課税投資枠に移すこと(ロールオーバー)ができましたが、新NISA制度では非課税期間が恒久化されたのでロールオーバーは廃止されます。
  4. 適切。NISA口座に受け入れた金融商品の配当金や分配金を非課税にするためには、配当金を受け取る方法として「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。株式数比例配分方式は、口座ごとの保有する株式数に応じて証券口座で配当等を受け取る方法です。株式数比例配分方式以外の受取方法では非課税扱いとはなりませんが、総合課税で確定申告をすることで配当控除の適用を受けることは可能です。なお、個別銘柄指定方式は、銘柄ごとに受領する口座を指定してその口座で配当金等を受領する方法です。
したがって不適切な記述は[3]です。