FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問13
問13
自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 自賠責保険は、自動車の運行中の事故に対して保険金が支払われるが、運行には自動車の走行だけではなく、クレーン車のクレーン操作などの自動車に構造上設備されている装置を本来の目的に従って使用する場合も含まれる。
- 複数台の自動車による事故において、共同不法行為により他人の身体に損害を与えた場合、自賠責保険の保険金額に加害者の有効な自賠責保険の契約数を乗じたものが、保険金の支払限度額になる。
- 自賠責保険では、保険契約者または被保険者の悪意によって発生した損害について保険金は支払われないが、被害者は、保険会社に対し、保険金額の限度において損害賠償額の支払を請求することができる。
- 自賠責保険では、自動車事故の被害者の過失割合が5割以上の場合、積算した損害額が保険金額に満たないときには積算した損害額から、保険金額以上となるときには保険金額から、被害者の過失割合に応じて2割から5割の減額が行われる。
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正解 4
問題難易度
肢110.9%
肢212.2%
肢317.0%
肢459.9%
肢212.2%
肢317.0%
肢459.9%
分野
科目:B.リスク管理細目:4.損害保険
解説
- 適切。自賠責保険における「運行」とは、人または物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいいます。このため、自動車の走行中だけではなく、クレーン車のクレーン操作などを行うなど駐停車中に自動車に固有の装置を操作することも「運行」に含まれます。したがって、クレーン操作によって起こった事故についても自賠責保険の支払い対象となります(自賠責法2項2項)。自賠責保険は、自動車の運行中の事故に対して保険金が支払われるが、運行には、自動車の走行だけでなく、停車中のドアの開閉も含まれる。(2024.9-14-1)
- 適切。自賠責保険は自動車一両ごとに加入するものなので、多重事故などで自動車事故の加害者が複数存在する場合、被害者はそれぞれの加害者の自賠責保険に対して保険金を請求することができます。このため、保険金の支払限度額は「通常の保険金額×加害車両数」となります。
- 適切。自賠責保険では、保険契約者または被保険者の悪意(被害を与える意図)によって生じた損害について、保険会社はその損害をてん補する義務を負いません(自賠責法14条)。悪意の場合、加害者は被害者に対して支払った損害賠償額に相当する保険金を請求することはできないのに対して、被害者はこの場合でも保険会社に保険金を請求することができます。加害者の資力が不足している場合のように、被害者が十分に保護されないこともあるためです。その後、保険会社は政府保障事業から補償を受け、政府保障事業は被害者に代位する形で加害者に求償する形となります。
- [不適切]。5割ではありません。自賠責保険は被害者の保護を目的としているため、厳格な過失相殺は適用されません。ただし、被害者に過失割合7割以上の重大な過失がある場合に限って下表のように保険金額が減額されます(金融庁・国土交通省告示第6)。※減額割合まで覚える必要はありません自賠責保険では、自動車事故の被害者の過失割合が5割以上の場合、積算した損害額が保険金額に満たないときには積算した損害額から、保険金額以上となるときには保険金額から、被害者の過失割合に応じて2割から5割の減額が行われる。(2024.9-14-3)自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上10割未満である場合、重過失減額制度により、原則として、自賠責保険により支払われるべき保険金等が被害者の過失割合に応じて減額される。(2019.1-13-2)自賠責保険では、被害者の過失割合が5割以上の場合、重過失減額制度により、原則として保険金の支払限度額が被害者の過失割合に応じて減額される。(2015.10-13-4)
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