FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問17

問17

各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 生命保険信託は、委託者が保険会社と締結した生命保険契約に基づく保険金請求権を信託銀行等に信託し、委託者の相続が開始した際には、信託銀行等が保険金を受け取り、受益者に対してあらかじめ定められた方法により給付する信託である。
  2. 暦年贈与信託は、委託者が拠出した信託財産のうち毎年一定額を受益者に給付する旨の贈与契約書を作成して設定される信託であり、年間給付額は贈与税の基礎控除額である110万円が上限となる。
  3. 後見制度支援信託は、被後見人、被保佐人または被補助人の生活の安定に資することを目的として、家庭裁判所が発行する指示書に基づいて設定される信託であり、委託者を受益者とする自益信託である。
  4. 遺言代用信託は、委託者が作成した遺言書を信託銀行等に信託し、信託銀行等が遺言書を適正に保管し、委託者の相続が開始した際には、遺言執行者として遺言書に基づく財産の分割に関する手続等を行う信託である。

正解 1

問題難易度
肢152.3%
肢28.0%
肢312.6%
肢427.1%

解説

  1. [適切]。生命保険信託は、委託者が保険会社と締結した生命保険契約に基づいて、委託者が死亡等したことによる保険金を信託銀行等が受取り、それを受益者に対してあらかじめ定められた方法により給付する信託です。
  2. 不適切。暦年贈与信託は、委託者が拠出した信託財産のうち毎年一定額を受益者に給付する信託です。年間給付額に上限はないので、贈与税の基礎控除額110万円を超えて設定することも可能です。
    暦年贈与信託は、委託者が拠出した信託財産のうち毎年一定額を受益者に給付する旨の贈与契約書を作成して設定される信託であり、年間給付額は贈与税の基礎控除額である110万円が上限となる。2016.1-17-1
  3. 不適切。後見制度支援信託は、法定被後見人の財産を保護し生活の安定に資するために、法定被後見人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託するものです(信託財産は金銭に限られる)。委託者=受益者となる自益信託で、交付等の手続きは家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われます。なお、本信託の対象となるのは法定被後見人だけですので、被保佐人、被補助人、任意被後見人は対象外です。
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資すること等を目的に設定される信託であり、信託契約の締結、信託の変更・解約等の手続があらかじめ家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われ、信託財産は金銭に限定されている。2021.5-17-3
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、信託財産は金銭に限定されている。2018.1-17-4
    後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、信託契約の締結、変更、解約等の手続は家庭裁判所の指示書に基づいて行われる。2016.1-17-3
    後見制度支援信託では、信託契約の締結、一時金の交付、信託の変更・解約等の手続が、あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書に基づいて行われる。2015.9-18-2
  4. 不適切。遺言代用信託は、本人の財産を信託銀行に信託し、生存中は自身を受益者に、亡くなったあとは配偶者や親族等を受益者とすることで、財産を分割することができる信託契約です。遺言書の作成は必要ありません。なお、遺言書の作成・保管・執行を行う「遺言信託」もあります。
したがって適切な記述は[1]です。