FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問25

問25

居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 内国法人から支払を受ける上場株式の配当について申告分離課税を選択した場合、その配当所得の金額は、同一年中に非上場株式を譲渡したことにより生じた損失の金額と損益通算することができる。
  2. 内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、その支払の際に所得税および復興特別所得税が源泉徴収され、住民税は特別徴収されない。
  3. 内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、原則として、1銘柄につき1回の配当金額が20万円以下であれば、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができる。
  4. 納税者が契約者(=保険料負担者)となっている生命保険契約に基づいて受け取った契約者配当金は、配当所得として総合課税の対象となるが、配当控除の適用を受けることはできない。

正解 2

問題難易度
肢18.8%
肢254.0%
肢317.1%
肢420.1%

解説

配当所得の課税関係については以下の出題ポイントを確認しておきましょう。
25.png./image-size:545×369
  1. 不適切。上場株式の配当金は申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができますが、非上場株式の分とは損益通算できません
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当について、確定申告において申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。2022.9-26-4
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当に係る配当所得については、確定申告による総合課税を選択したとしても、配当控除の適用を受けることはできない。2017.9-25-4
  2. [適切]。非上場株式等の配当金は、その支払いを受けるときに所得税+復興特別所得税で20.42%が源泉徴収されます。住民税については源泉徴収ではなく、翌年に普通徴収または特別徴収となります。
  3. 不適切。非上場株式の配当については、原則として、1銘柄につき1回の配当金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下である少額配当については所得税について申告不要を選択することができます(1年間で10万円まで)。ただし、住民税については総合課税で申告しなくてはなりません。
    同一銘柄の非上場株式の配当で、1回の配当金額が10万円で配当計算期間が6カ月であるものを年2回受け取った場合、いずれの配当についても確定申告不要制度を選択することができる。2021.1-25-2
  4. 不適切。生命保険契約に基づいて保険期間中に受け取った契約者配当金には、所得税や住民税は課税されません。契約者配当金を受け取ると、その額がその年の支払保険料から差し引かれるので、課税されない代わりに生命保険料控除の対象金額が少なくなります。
したがって適切な記述は[2]です。