FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問26

問26

居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 内国法人から支払を受ける上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該上場株式の数および金額が当該発行会社の発行済株式総数等の3%未満であれば、受け取った配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができる。
  2. 同一年中に受け取った複数の上場株式の配当について確定申告を行う場合、1銘柄ごとに総合課税または申告分離課税を選択することができる。
  3. 同一年中にX社株式の配当金20万円とY社株式の配当金20万円を受け取り、X社株式を取得するために要した負債の利子30万円(その年中におけるX社株式の所有期間に対応して計算された金額)を支払った者が、確定申告において総合課税を選択した場合、配当所得の金額は20万円となる。
  4. 内国法人から支払を受ける上場株式の配当で、確定申告において総合課税または申告分離課税を選択した配当所得については、配当控除の適用を受けることができる。

正解 1

問題難易度
肢151.2%
肢222.9%
肢312.5%
肢413.4%

解説

配当所得の課税関係については以下の出題ポイントを確認しておきましょう。
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  1. [適切]。大口株主等以外の個人が受け取った上場株式の配当は、その金額の多寡にかかわらず確定申告不要制度を選択することができます。
  2. 不適切。上場株式等の配当所得を申告する場合は、確定申告をする上場株式等に係る配当等の全てについて、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することになります(大口株主等を除く)。配当ごとに選択できるのは確定申告不要制度を選択するか否かです。
  3. 不適切。総合課税の配当所得の額は「配当等の収入金額-負債の利子」で計算します。したがって、本肢のケースでは「40万円-30万円=10万円」が配当所得となります。
    ※株式を買ったり出資をしたりするために借り入れた負債の利子に限る
    同一年中にX社株式の配当20万円とY社株式の配当20万円を受け取り、確定申告において、それぞれの配当金額とあわせてX社株式を取得するために要した負債の利子30万円を申告した場合、配当所得の金額は20万円となる。2024.9-25-3
    同一年中にX社株式の配当金20万円とY社株式の配当金20万円を受け取り、X社株式を取得するために要した負債の利子30万円を支払った者が、当該配当について確定申告を行う場合、配当所得の金額は20万円となる。2022.9-26-3
  4. 不適切。配当控除の適用を受けることができるのは、総合課税を選択した場合のみです。申告分離課税を選択したときには適用を受けられません。
    J-REIT(上場不動産投資信託)の分配金に係る配当所得は、総合課税や申告分離課税を選択することができ、総合課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。2024.9-25-4
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当について、確定申告において申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。2022.9-26-4
    ETF(上場投資信託)やJ-REIT(上場不動産投資信託)の分配金に係る配当所得は、上場株式の配当と同様に、総合課税や申告分離課税を選択することができ、総合課税を選択した場合は配当控除の適用を受けることができる。2021.1-25-4
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当に係る配当所得については、確定申告による総合課税を選択したとしても、配当控除の適用を受けることはできない。2017.9-25-4
したがって適切な記述は[1]です。