FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問37

問37

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。
  1. 普通借地権の存続期間が満了し、普通借地契約を更新する場合において、当事者間の合意により更新後の期間を50年と定めることは可能である。
  2. 普通借地契約において、借地借家法で定める地代等増減請求権は任意規定であり、特約によりその適用を排除することができる。
  3. 居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とし、かつ、存続期間を20年として定期借地権を設定することはできない。
  4. 建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、その建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものと借地権設定者との間で、その建物について定期建物賃貸借契約を締結することは可能である。

正解 2

問題難易度
肢113.5%
肢248.6%
肢324.2%
肢413.7%

解説

  1. 適切。普通借地権の存続期間は次のようになっています。1回目の更新は20年以上、2回目以降の更新は10年以上ですから、どちらのケースでも存続期間50年とすることは可能です(借地借家法4条)。
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  2. [不適切]。地代等増減請求権とは、地代等が近隣の類似の土地と比較して不相当になったときに、貸主・借主が相手方に地代等の増減額を請求できる権利です。普通借地権において地代等増減請求権は強行規定なので、特約によって排除できません。ただし、一定期間増額しない旨の特約は借主に有利なので有効となります(借地借家法11条)。
  3. 適切。賃貸事業を目的としていますが、居住用建物なので事業用定期借地権等を設定することはできません。そうなると一般定期借地権(50年以上)、または建物譲渡特約付借地権(30年以上)となりますから、存続期間20年の定期借地権を設定することはできません。
  4. 適切。建物譲渡特約付借地権は、契約で決められた時期に借地上の建物の買取りが行われることにより消滅します。建物の所有権は土地の所有者に移転しますが、借地権者だった人がその後も継続して当該建物を使用したいときには、土地所有者に請求すれば期間の定めのない普通建物賃貸借がされたとみなされます。土地所有者の承諾は必要ありません。このとき、当事者間の合意により定期建物賃貸借を締結することも可能です(借地借家法24条3項)。
したがって不適切な記述は[2]です。