FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問36
問36
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
- 普通借地権の存続期間が満了し、借地権設定者が借地契約を更新しない場合、借地権者は、借地権設定者に対し、借地権者が権原により借地上に建築した建物について時価で買い取るべきことを請求することができる。
- 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を50年以上とする定期借地権は、設定することができない。
- 土地所有者に対する建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合、当該建物の賃借人は、土地所有者の承諾を得られなければ、その消滅後に当該建物の使用を継続することはできない。
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正解 2
問題難易度
肢19.4%
肢254.5%
肢325.4%
肢410.7%
肢254.5%
肢325.4%
肢410.7%
分野
科目:E.不動産細目:2.不動産の取引
解説
- 不適切。普通借地権の存続期間満了に伴い、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、借地上に建物がある場合に限り、更新したとみなされます(借地借家法5条1項)。借地借家法は、建物の所有を目的とする借地契約等を特別に保護するものなので、借地上に建物がない場合は法定更新は認められません。普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。(2021.1-36-1)
- [適切]。普通借地権の存続期間が満了し、かつ契約更新がないとき、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求できます。この権利を「建物買取請求権」といいます(借地借家法13条)。普通借地権の存続期間が満了し、借地権設定者が借地契約を更新しない場合において、借地権者は、借地権設定者に対し、借地権者が権原により借地上に建築した建物について時価で買い取るべきことを請求することができる。(2019.5-35-2)普通借地権の存続期間が満了し、借地契約を更新しない場合において、借地人は、土地所有者に対し、借地人が権原により借地上に建築した建物について時価で買い取るべきことを請求することができる。(2017.1-35-2)
- 不適切。存続期間50年なので、一般定期借地権が利用できます。一般定期借地権では建物の用途は問わないため、事業用でも問題ありません(借地借家法22条)。居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とし、かつ、存続期間を20年として定期借地権を設定することはできない。(2019.9-37-3)居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とし、かつ、存続期間を20年として定期借地権を設定することはできない。(2017.1-35-3)
- 不適切。建物譲渡特約付借地権は、契約で決められた時期に借地上の建物の買取りが行われることにより消滅します。建物の所有権は土地の所有者に移転しますが、借地権者だった人がその後も継続して当該建物を使用したいときには、土地所有者に請求すれば期間の定めのない普通建物賃貸借がされたとみなされます(借地借家法24条2条)。土地所有者の承諾は必要ありません。ただし、土地所有者との間で定期借家契約がされたときはそちらが優先されます。土地所有者に対する建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の賃借人は、土地所有者の承諾を得られなければ、その消滅後に当該建物の使用を継続することはできない。(2021.1-36-4)建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合、当該建物の賃借人は、土地所有者の承諾を得なければ当該建物の使用を継続することができない。(2017.1-35-4)
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