FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問27

問27

居住者に係る所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 青色事業専従者として給与の支払を受けている妻に係る医療費で一定のものを事業主である夫が支払った場合、妻が受け取っている給与の額にかかわらず、当該医療費は夫の医療費控除の対象となる。
  2. 被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続財産により支払われた場合、被相続人の準確定申告において、被相続人の医療費控除の対象となる。
  3. 医療費控除の対象となる医療費は、その年中に実際に支払った金額に限られ、医療費控除額の計算上、支払った医療費から差し引く医療費を補填する保険金等は、その年中に実際に受け取った金額に限られる。
  4. 医療費控除の適用を受けるためには、確定申告書に医療費控除に関する事項を記載するとともに、医療保険者から交付を受けた医療費通知および医療費の領収書を確定申告書に添付しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢155.4%
肢217.6%
肢313.7%
肢413.3%

解説

  1. [適切]。生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合、その親族等の収入の多寡にかかわらず、支払った医療費の全額が医療費控除の対象となります。よって、配偶者に青色事業専従者としての給与があっても、支払った医療費は支払った者の医療費控除の控除の対象になります。
    青色事業専従者として給与の支払を受けている妻に係る医療費で一定のものを事業主である夫が支払った場合、当該医療費は夫の医療費控除の対象となる。2015.10-27-1
  2. 不適切。医療費控除はその年中に実際に支払った金額を対象とします。被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象とはなりません。入院や治療を受けた際、相続人が被相続人と生計を一にしていた場合は、当該相続人の医療費控除の対象となります。
    父が入院中に死亡し、その後、相続人である子が父の入院中に生じた医療費を相続財産から支払った場合、当該医療費は、父に係る準確定申告において医療費控除の対象となる。2025.5-27-1
  3. 不適切。医療費控除を計算する際には、医療費を補う保険金などの金額を差し引く必要があります。この「保険金などで補填された金額」は、受取年にかかわらず、対応する医療費を支払った年の分から差し引きます。そうしないと、控除額が本来より多くなってしまうためです。
    もし補填される保険金などの金額が確定申告の時点でまだ決まっていない場合は、見込み額で計算し、後で実際の金額が違っていたときは、修正申告や更正の請求をして正しい金額に直します。
    医療費控除の対象となる医療費は、その年中に実際に支払った金額に限られ、医療費控除額の計算上、支払った医療費から差し引く医療費を補填する保険金等は、その年中に実際に受け取った金額に限られる。2025.9-27-1
  4. 不適切。医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
    2017年(平成29年)分の確定申告から、医療費の領収書の添付は必要なくなり、健康保険の保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。
したがって適切な記述は[1]です。