FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問27

問27

居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 父が入院中に死亡し、その後、相続人である子が父の入院中に生じた医療費を相続財産から支払った場合、当該医療費は、父に係る準確定申告において医療費控除の対象となる。
  2. 納税者が、生計を一にする長男が未納にしていた過去2年分の国民年金の保険料を支払った場合、納めた全額がその支払った年分の社会保険料控除の対象となる。
  3. 合計所得金額が1,000万円を超える納税者は、生計を一にする配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除の適用を受けることができない。
  4. 青色申告者の配偶者で青色事業専従者として給与の支払を受ける者、または白色申告者の配偶者で事業専従者に該当する者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者に該当しない。

正解 1

問題難易度
肢146.9%
肢216.1%
肢314.8%
肢422.2%

解説

  1. [不適切]。被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象とはなりません。入院や治療を受けた際、子が父と生計を一にしていた場合は、当該子の医療費控除の対象となります。
    被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続財産により支払われた場合、被相続人の準確定申告において、被相続人の医療費控除の対象となる。2020.1-27-2
  2. 適切。社会保険料控除の対象となるのは、本人または生計を一にする親族等が負担すべき社会保険料を支払った場合です。長男が支払うべき未納分を納税者がまとめて支払った場合、全額を支払った年の社会保険料控除の対象とすることができます。
    納税者が、生計を一にする子の納付が免除されていた国民年金保険料を追納した場合、納付した金額はその支払った年分の納税者の社会保険料控除の対象となる。2024.5-28-1
    納税者が、生計を一にする長男が未納にしていた過去2年分の国民年金保険料を支払った場合、納めた全額がその支払った年分の社会保険料控除の対象となる。2022.5-27-1
    納税者が生計を一にする長女に係る国民年金の保険料を支払った場合、その支払った保険料は納税者の社会保険料控除の対象となる。2021.9-27-2
  3. 適切。配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも、納税者の合計所得金額が1,000万円以下であることが適用要件とされています。1,000万円を超える場合は、合計所得金額の多寡にかかわらず両控除の適用を受けることはできません。
    納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除は適用されない。2024.1-28-1
    合計所得金額が1,000万円を超える納税者は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることができない。2022.5-28-1
    合計所得金額が1,000万円を超える納税者は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることができない。2021.5-28-a
    納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることはできない。2019.1-28-2
    納税者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることはできない。2018.9-27-4
    納税者本人の合計所得金額が900万円を超える場合は、生計を一にする配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除の適用を受けることができない。2015.1-29-4
  4. 適切。配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも、青色事業専従者としてその年に給与の支払いを受けていないこと、白色申告者の事業専従者でないことが要件の一つです。事業専従者に該当する場合は、合計所得金額の多寡にかかわらず両控除の適用を受けることはできません。
    配偶者が青色事業専従者として給与の支払を受けている場合、納税者および配偶者のそれぞれの合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除は適用されない。2024.1-28-4
    青色申告者の配偶者で青色事業専従者として給与の支払を受ける者、または白色申告者の配偶者で事業専従者に該当する者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者には該当しない。2022.5-28-2
    青色申告者の配偶者で青色事業専従者として給与の支払を受ける者、または白色申告者の配偶者で事業専従者に該当する者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者または老人控除対象配偶者には該当しない。2022.1-28-2
    青色申告者の配偶者で、青色事業専従者として給与の支払を受ける者は、その者の合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者には該当しない。2015.1-29-3
したがって不適切な記述は[1]です。