FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問14

問14

事業活動に係る各種損害保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. サイバー保険や個人情報漏えい保険では、外部からの不正アクセスにより、顧客の個人情報が外部に漏えいした場合に、被保険者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害やそれらに対応する費用を補償する。
  2. 生産物賠償責任保険では、第三者に引き渡した製品や仕事の結果に起因する事故により、他人の身体または財物に損害を与えた場合に、被保険者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する。
  3. 施設所有(管理)者賠償責任保険では、施設の管理や施設の用法に伴う仕事の遂行が原因となり、他人の身体または財物に損害を与えた場合に、被保険者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する。
  4. 労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与えた場合に、被保険者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されている。

正解 4

問題難易度
肢15.7%
肢29.2%
肢37.5%
肢477.6%

解説

  1. 適切。サイバー保険は、サイバー攻撃による第三者に対する損害賠償責任や企業の損失を補償する保険で、個人情報漏えい保険は、企業が所有・管理する個人情報が漏えいした場合の賠償リスクに備える保険です。これらの保険は、不正アクセスを受けたことによる個人情報の漏えいについて賠償金の支払いやその対応費用を補償する保険として適しています。
  2. 適切。生産物賠償責任保険(PL保険)は、製造・販売した商品や工事の施工結果に起因する事故により、他人の身体や財物に危害・損害を与えた場合に、被保険者が負担する法律上の賠償責任を補償する保険です。
  3. 適切。施設所有(管理)者賠償責任保険は、施設の所有・使用・管理や業務遂行によって生じた事故により、他人の身体や財物に危害・損害を与えた場合に、被保険者が負担する法律上の賠償責任を補償する保険です。
  4. [不適切]。使用者賠償責任保険は、労災に被災した従業員やその遺族からの損害賠償に備える保険で、第三者に対する損害賠償責任は対象外です
    労働災害総合保険は、従業員の労働災害について政府労災保険等の上乗せ補償を行う企業向けの商品です。「法定外補償保険」と「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成され、どちらか一方の契約も可能です。
    法定外補償保険
    労災保険からの給付が、労働協約、就業規則等で定められる災害補償額に足りない場合、その不足額を支払ったことによる損失を補償する
    使用者賠償責任保険
    従業員から使用者責任を問われたことにより法律上の損害賠償責任が生じた場合に、その賠償金支払いにより生じた損失を補償する
したがって不適切な記述は[4]です。