FP1級過去問題 2022年5月学科試験 問14

問14

個人事業主が加入する各種損害保険から受け取った保険金の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも契約者(=保険料負担者)は個人事業主であるものとする。
  1. 個人事業主が、従業員を被保険者とする傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入に該当する。
  2. 個人事業主が、所有する営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入に該当する。
  3. 個人事業主が、事業用建物が火災で焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。
  4. 個人事業主が、所有する店舗で保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を保険の対象とする火災保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。

正解 1

問題難易度
肢141.8%
肢214.8%
肢330.6%
肢412.8%

解説

  1. [適切]。個人事業主が契約者かつ保険金受取人であり、被保険者を従業員とする傷害保険の個人事業主が受け取る死亡保険金は、事業収入に計上する必要があります。
    事業用建物が火災により焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-4
    個人事業主が、従業員を被保険者とする積立普通傷害保険(保険期間5年)の満期返戻金を受け取った場合、当該満期返戻金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-2
  2. 不適切。営業車の損害により個人が受ける損害保険金は、「資産の損害に基因して支払を受けるもの」に該当するため非課税所得となります。受け取った保険金が損失を上回る場合でも、差額を事業収入にする必要はありません(所得税法令30条)。
    事業用建物内に設置していた営業用什器備品が火災により焼失し、営業用什器備品を保険の対象とする火災保険から廃棄損を上回る保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-3
    個人事業主が、所有している営業用自動車が全損となる事故により廃車となり、自動車保険から廃棄損を上回る車両保険金を受け取った場合、当該保険金のうち廃棄損を上回る部分については個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-4
  3. 不適切。店舗休業保険から受ける保険金は、休業期間の収益の補填であり、実質的に売上の同様の性格をもつため、事業収入に計上する必要があります(所得税法令94条1項)。
    個人事業主が、所有する店舗が火災で焼損して業務不能となったことにより、店舗の休業期間における収益の補償として店舗休業保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は所得税の課税対象となる。2025.1-15-2
  4. 不適切。販売商品や棚卸資産等の損害により個人が受ける損害保険金は、本来は得られるはずだった収益の補填であり、実質的に売上の同様の性格をもつため、事業収入に計上する必要があります(所得税法令94条1項)。
    個人事業主が、所有する店舗内の倉庫に保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。2025.1-15-4
    事業用建物内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2020.1-15-2
    個人事業主が、所有する店舗内で保管していた商品が火災により焼失し、商品を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は個人事業主の事業収入となる。2019.1-14-3
したがって適切な記述は[1]です。