FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問7

問7

特定退職金共済制度(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 本制度は、市町村(特別区を含む)、商工会議所、都道府県中小企業団体中央会、退職金共済事業を主たる目的として設立された一般社団法人等で、その退職金共済事業につき一定の要件を備えているものとして都道府県知事の承認を受けた特定退職金共済団体が実施する制度である。
  2. 個人事業主もしくはその事業主と生計を一にする親族または法人の役員(使用人としての職務を有する役員を除く)は、本制度の被共済者となることができない。
  3. 本制度の被共済者1人当たりの掛金は、月額1,000円から50,000円までの範囲内で選択することができる。
  4. 本制度に新規に加入する場合、被共済者である従業員の過去勤務期間は通算することはできず、加入時から被共済者が退職するまでの期間と掛金額に基づき退職給付金の額が算出される。

正解 2

問題難易度
肢130.7%
肢236.3%
肢316.4%
肢416.6%

解説

  1. 不適切。都道府県知事の承認ではありません。特定退職金共済制度(特退共)は、商工会議所、商工会、商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会などの団体が独自に実施する退職金共済事業について、中退共と同じく税法上「掛金は損金、給付は退職所得・年金」の対象とする制度です。特定退職金共済団体となるためには、退職金共済事業が一定の要件を満たしていることについて税務署長の承認が必要です(所得税法令73条1項本文)
  2. [適切]。本制度の対象は使用人に限られるので、加入事業主である個人または生計を一にする親族、法人の役員を被共済者に含めることはできません。これは中退共でも同様です(所得税法令73条1項3号)。
  3. 不適切。50,000円ではありません。本制度は、特定退職金共済団体が行う退職金共済事業に中退共と同様の税制を適用することを目的としているため、上限も中退共と同じ30,000円(1口1,000円として30口まで)です(所得税法令73条1項6号)。
  4. 不適切。本制度では、新規加入時に申請することにより、10年を限度として制度加入前の期間を退職金額の計算基礎に含めることができます。この場合、事業主は基本掛金額に加えて、過去勤務掛金額を納付することになります。この仕組みにより、従業員の過去の勤務期間を利用して積立てを早めることが可能です(所得税法令73条1項7号)。
したがって適切な記述は[2]です。