FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問43
問43
贈与税の課税財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与者および受贈者はいずれも個人であるものとする。- 父が所有する時価2,000万円の土地を、その土地上に自宅の建築を検討している子に1,000万円で譲渡した場合、その差額に相当する金額を子が父から贈与により取得したものとみなされる。
- 父が300万円、母が200万円、子が100万円の保険料をそれぞれ負担した生命保険契約の死亡保険金3,000万円を被保険者である父の死亡により子が受け取った場合、子が贈与により取得したものとみなされる金額は、1,000万円である。
- 2023年11月に死亡した父から同年4月に現金800万円の暦年課税による贈与を受けていた子が、父の相続または遺贈により財産を取得しなかった場合、父から暦年課税による贈与により取得した現金800万円については、贈与税の課税対象とはならず、相続税の課税対象となる。
- 同族会社の債権者が対価を受けないで債務の免除をしたことにより、当該同族会社の株式の価額が増加した場合、当該同族会社の株主は、その増加した部分に相当する金額を当該債権者から贈与により取得したものとみなされる。
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正解 3
問題難易度
肢16.4%
肢235.4%
肢346.0%
肢412.2%
肢235.4%
肢346.0%
肢412.2%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:2.贈与と税金
解説
- 適切。個人から著しく低い価額の対価で譲り受けた場合、その財産の時価と支払った対価の額との差額に相当する金額が贈与によって取得したものとみなされます。親子間であっても例外ではないので、子は父から1,000万円の贈与を受けたものとして課税対象となります。なお、著しく低いかどうかは事例ごとに判断されますが、時価の2分の1の対価は明らかに著しく低いと言えます。
- 適切。保険料を複数人が負担している場合、死亡保険料の課税関係は、保険料の負担割合と保険料負担者・被保険者・受取人の関係によって分けて考えます。すなわち、本肢では次の3つが組み合わさっていると考えます。
- 契約者父、被保険者父、受取人子 ⇒ 相続税
- 契約者母、被保険者父、受取人子 ⇒ 贈与税
- 契約者子、被保険者父、受取人子 ⇒ 所得税
3,000万円×200万円300万円+200万円+100万円=1,000万円
したがって記述は適切です。 - [不適切]。生前贈与加算は、贈与者の死亡により相続財産を取得した場合に行います。子は父の相続財産を受け取っていないので、生前に受け取った贈与はそのまま贈与税の課税対象となります。これは贈与を受けた年中に相続が開始した場合でも同じです(相続税法21条の2第4項)。
- 適切。贈与契約や遺贈によらなくても、対価の支払いなく、または著しい低額の対価で実質的に経済的利益を受けた者は、その利益を贈与により取得したものとみなされます(相続税法9条)。会社に対して対価なしで債務免除があり同族会社の株式または出資の価額が増加した場合、財産の提供者と株主等の間に直接の関係はありませんが、株主等は、その財産を提供した者から贈与によって増加相当額を取得したものとして取り扱われます(相基通9-2)。
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