FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問46

問46

相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 個人事業主であるAさんが2024年10月20日に死亡し、Aさんの妻が2024年12月13日に準確定申告書を提出して、Aさんが納付した予定納税額のうち一部の還付を受けた場合、Aさんの妻が受け取った当該還付金は、相続税の課税対象とならない。
  2. 会社員であるBさんが2024年8月19日に死亡し、Bさんの勤務先からBさんに2024年8月23日に支給すべき給与がBさんの妻に支給された場合、Bさんの妻が受け取った当該給与は、相続税の課税対象となる。
  3. 会社役員であるCさんが2024年6月3日に不動産を購入後、所有権の移転登記を行う前に死亡した場合、Cさんの子が相続により取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる。
  4. 特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、Dさんが、Dさんによる特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる。

正解 1

問題難易度
肢155.4%
肢220.2%
肢37.7%
肢416.7%

解説

  1. [不適切]。所得税の準確定申告に係る還付金は、本来の相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。被相続人が有していた還付金請求権は本来の相続財産であり、それが顕在化したものと捉えるからです。なお、還付加算金がある場合、こちらは相続人の所得となります。
    Dさんが2024年10月20日に死亡し、Dさんの妻が2024年12月15日に準確定申告書を提出して、Dさんが納付した予定納税額のうち一部の還付を受けた。この場合、Dさんの妻が受け取った当該還付金は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。2016.1-46-4
  2. 適切。被相続人が受けるべきであったものであり、相続開始の時において支給期の到来していない給与は、本来の相続財産に含まれます(相基通3-33)。
    老齢基礎年金の受給権者であるBさんが2024年6月10日に死亡し、Bさんに支給すべき年金給付でまだ支給されていない年金をBさんの妻が受け取った。この場合、Bさんの妻が受け取った当該未支給年金は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。2016.1-46-2
    会社員であるCさんが2024年8月22日に死亡し、Cさんの勤務先からCさんに8月25日および9月25日に支給すべき給与がCさんの妻に支給された。この場合、Cさんの妻が受け取った当該給与は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。2016.1-46-3
  3. 適切。売買契約の締結により不動産の所有権はCさんに移っていますから、当該不動産はCさんの相続財産に含まれます。この場合、相続人(Cさんの子)は不動産の売主に対して被相続人への所有権移転登記を請求した後、相続登記をすることになります。
    Aさんが購入した不動産について、所有権の移転登記が行われる前にAさんの相続が開始し、当該不動産をAさんの配偶者が相続により取得した場合、当該不動産は、相続税の課税対象とならない。2023.1-45-1
    Aさんが2024年3月25日に死亡し、Aさんが2024年3月10日に購入し、相続開始時において所有権の移転登記がされていなかった不動産をAさんの妻が相続により取得した。この場合、Aさんの妻が取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。2016.1-46-1
  4. 適切。特別寄与料とは、被相続人の親族のうち相続人以外の者が無償で介護や事業を手伝っていた場合にその貢献に応じて金銭を請求できる制度です。特別寄与料が支払われた場合、被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります(相続税法4条2項)。
    特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、相続税の課税対象とならない。2023.1-45-4
したがって不適切な記述は[1]です。