FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問4

問4

障害基礎年金および障害厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 傷病に係る障害認定日において20歳未満である者に対する障害基礎年金は、原則として、障害認定日が属する月の翌月から支給される。
  2. 障害厚生年金を受給するためには、保険料納付要件を満たし、かつ、傷病に係る初診日および障害認定日において厚生年金保険の被保険者でなければならない。
  3. 厚生年金保険の被保険者が事故によりケガをし、障害認定日においては障害等級1級、2級または3級に該当する程度の障害の状態になかったものの、そのケガが悪化して、65歳に達した日以後に障害等級3級に該当する程度の障害の状態となった場合、障害厚生年金の支給を請求することはできない。
  4. 障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある受給権者に支給される障害厚生年金の額は、その者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者および18歳到達年度の末日までの間にある子がいる場合、配偶者の加給年金額と子の加算額が加算された額となる。

正解 3

問題難易度
肢112.8%
肢215.0%
肢344.1%
肢428.1%

解説

  1. 不適切。20歳前に初診日のある傷病を負い、障害認定日に20歳未満である場合、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にあれば、障害基礎年金の支給対象となります(国年法30条の4)。支給開始されるのは20歳に達した日の翌月分からです。
    20歳前に初診日 ⇒ 障害認定日 ⇒ 20歳
    20歳に達した日の翌月分から支給開始
    20歳前に初診日 ⇒ 20歳 ⇒ 障害認定日
    障害認定日の翌月分から支給開始
  2. 不適切。障害認定日に被保険者である必要はありません。障害厚生年金は、初診日において厚生年金被保険者であった者が、障害認定日において障害等級1級~3級に該当する程度の障害の状態にある支給されるのが基本的な形です(厚年法47条)。
    障害認定日とは、初診日から起算して1年6カ月を経過した日(その期間内に傷病が治癒したときにはその日)をいいます。また、障害厚生年金を受給するためには、初診日の前日において以下のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが必要です。
    1. 初診日の前日までの国民年金の被保険者期間について、保険料納付済月数と免除期間の合計が3分の2以上あること
    2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
    障害厚生年金の支給を受けるためには、傷病に係る初診日および障害認定日において厚生年金保険の被保険者であり、かつ、その障害認定日において障害等級1級、2級または3級に該当する程度の障害の状態でなければならない。2021.5-5-1
    障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における厚生年金保険の被保険者であった期間は、その計算の基礎とされない。2020.1-5-3
    障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における厚生年金保険の被保険者であった期間は、その計算の基礎とされない。2018.9-5-1
  3. [適切]。障害厚生年金は、障害認定日に障害等級に該当しなくても、その後65歳到達日の前日までにその傷病により障害等級に該当したときは、65歳に達するまでの間に限り請求することができます(厚年法47条の2)。障害基礎年金も同様です。65歳に達した後は、事後重症による障害年金の請求はできません。
    障害認定日において障害等級に該当する障害の状態でなかった者が、その傷病が重症化したことにより、67歳のときに障害等級1級または2級に該当する障害の状態に至った場合、その時点で障害基礎年金の支給を請求することができる。2023.1-5-3
    傷病の初診日において厚生年金保険の被保険者であった者が、その障害認定日において障害等級1級、2級または3級に該当する程度の障害の状態にあるときは、障害認定日において厚生年金保険の被保険者でなかったとしても、その者は障害厚生年金を受給することができる。2020.1-5-2
  4. 不適切。子の加算額はありません。障害等級2級以上の障害厚生年金では、障害厚生年金の受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金額が加算されます。子の加算額があるのは障害基礎年金です。
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    障害等級1級に該当する受給権者(新規裁定者)に支給される障害基礎年金の額(2024年度価額)は、その者によって生計を維持している16歳の子が1人いる場合、831,700円の1.25倍に相当する額に子の加算額(239,300円)を加算した額となる。2023.1-5-2
したがって適切な記述は[3]です。