FP1級過去問題 2020年1月学科試験 問5

問5

公的年金制度の障害給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 傷病の初診日およびその障害認定日において20歳未満であり、国民年金の被保険者でなかった者が、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者は障害基礎年金を受給することができる。
  2. 傷病の初診日において厚生年金保険の被保険者であった者が、その障害認定日において障害等級1級、2級または3級に該当する程度の障害の状態にあるときは、障害認定日において厚生年金保険の被保険者でなかったとしても、その者は障害厚生年金を受給することができる。
  3. 障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における厚生年金保険の被保険者であった期間は、その計算の基礎とされない。
  4. 障害厚生年金の加給年金額は、障害等級1級または2級に該当して障害厚生年金の受給権を取得した当時、受給権者が所定の要件を満たす配偶者を有するときに加算されるため、障害厚生年金を既に受給している者が婚姻した場合、その配偶者は加給年金対象者とならない。

正解 4

問題難易度
肢14.3%
肢212.5%
肢313.4%
肢469.8%

解説

  1. 適切。20歳前の年金制度未加入の期間に初診日のある傷病によって障害を負った場合でも、20歳に達した日において障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にあるときは、障害基礎年金が支給されることになります(国年法30条の4)。ただし、受給権者の前年の所得が一定額を超える場合には、その年の10月から翌年の9月まで、年金額の全部または2分の1が支給停止となります(国年法36条の3)。
    障害認定日において障害等級に該当する障害の状態でなかった者が、その傷病が重症化したことにより、67歳のときに障害等級1級または2級に該当する障害の状態に至った場合、その時点で障害基礎年金の支給を請求することができる。2023.1-5-3
    障害手当金は、障害等級3級に至らない程度の障害が残った者に対して一時金として支給されるものであり、その額は、障害等級2級に該当した場合に支給される障害厚生年金の額と同額である。2018.9-5-4
  2. 適切。初診日に厚生年金保険の被保険者であれば、その後障害認定日の時までに厚生年金の被保険者でなくなった場合でも、障害認定日において障害等級1~3級に該当する程度の障害の状態にあるときは障害厚生年金が支給されます(厚年法47条)。
    障害厚生年金の支給を受けるためには、傷病に係る初診日および障害認定日において厚生年金保険の被保険者であり、かつ、その障害認定日において障害等級1級、2級または3級に該当する程度の障害の状態でなければならない。2021.5-5-1
  3. 適切。障害厚生年金は、老齢厚生年金と同じように被保険者期間の月数に応じて支給額が算定されますが、障害認定月後の被保険者期間は算定基礎の対象外になります(厚年法51条)。
    障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月後における厚生年金保険の被保険者であった期間は、その計算の基礎とされない。2018.9-5-1
  4. [不適切]。障害等級2級以上の障害厚生年金では、障害厚生年金の受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者加給年金額が加算されます。この加給年金は、障害厚生年金の受給権取得時に婚姻していなくても、その後婚姻して対象となる配偶者を有することになれば翌月から支給されるようになります(厚年法50条の2第3項)。
    ※障害基礎年金は子の加算、障害厚生年金は配偶者の加算であることに注意しましょう。
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    障害等級1級または2級の障害厚生年金を受給している者が、婚姻により所定の要件を満たす65歳未満の配偶者を有するに至った場合、婚姻の日の属する月の翌月分から障害厚生年金の額に加給年金額が加算される。2023.1-5-4
    障害等級2級に該当して障害厚生年金の支給を受けている者が婚姻し、所定の要件を満たす配偶者を有するに至った場合は、所定の手続により、その至った日の属する月の翌月分から当該受給権者の障害厚生年金に加給年金額が加算される。2021.5-5-3
    障害等級2級に該当して障害厚生年金を受給している者が婚姻し、所定の要件を満たす配偶者を有することとなった場合は、所定の手続により、婚姻した日の属する月の翌月分から当該受給権者の障害厚生年金に加給年金額が加算される。2018.9-4-3
    老齢厚生年金を受給している者(厚生年金保険の被保険者期間が240月以上である者)が婚姻し、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有することとなった場合は、婚姻した月の翌月からその者の老齢厚生年金に加給年金額が加算される。2016.1-4-1
    障害厚生年金の受給権者にその権利を取得した当時、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、当該受給権者の障害の程度にかかわらず、当該受給権者の障害厚生年金に配偶者に係る加給年金額が加算される。2016.1-4-3
したがって不適切な記述は[4]です。