FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問16

問16

わが国の経済指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財やサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定したものであり、当該指数のうち、「生鮮食品を除く総合指数」は、内閣府が公表する景気動向指数の遅行系列に採用されている。
  2. 企業物価指数は、企業が生産した財の出荷時の価格や企業が提供したサービスの価格の変動を、個別の取引総額に応じたウエイトを加味して測定したものであり、日本銀行が毎月公表している。
  3. GDPデフレーターは、実質GDPを名目GDPで除すことによって算出される物価指数であり、当該指数が持続的に上昇している場合、インフレーションの状態にあると判断される。
  4. 原油価格などの輸入品価格の上昇は、その上昇分が国内の製品価格等にすべて転嫁されない限り、GDPデフレーターの上昇要因となる。

正解 1

問題難易度
肢146.9%
肢214.7%
肢322.9%
肢415.5%

解説

  1. [適切]。消費者物価指数は、一般消費者が購入している財・サービス価格の動向を表す指数で、総務省が毎月発表しています。一致指数より数カ月程度遅れて動く指数であることから、総合指数(生鮮食品を除く)が、景気動向指数の遅行系列と採用となっています。
    消費者物価指数(CPI)は、全国の世帯が購入する家計に係る財やサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定したものであり、いわゆるコアCPIとは、「生鮮食品」を除いて算出された物価指数である。2021.1-16-4
    消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定したものである。2018.1-16-1
  2. 不適切。企業物価指数は、企業間で取引されるに関する価格の変動を基準年の年平均価格を100として指数化したもので、日本銀行が毎月公表しています。集計対象となるのは財(物品)のみでサービスの価格は含みません。
    企業物価指数は、企業が生産した財の出荷時の価格や企業が提供したサービスの価格の変動を、各品目の取引総額に応じたウェイトを加味して測定したものである。2019.5-16-2
  3. 不適切。実質GDP÷名目GDPではありません。GDPデフレーターは「名目GDP実質GDP×100」の式で算出します。GDPデフレーターが1を超えれば物価が上昇(インフレ)していることを示し、逆に1未満であれば物価が下落(デフレ)していることを示します。
  4. 不適切。上昇要因ではありません。
    GDPを算出する上では、国内で生み出された価値である輸出額を加え、国外で生み出された価値である輸入額を控除します。輸入品の価格が上昇すると名目輸入は増加するため、その分だけ名目GDPは押し下げられます。
    • 輸出額100、輸入額100、名目GDP±0
    • 輸出額100、輸入額120、名目GDP-20
    一方、物価変動の影響を取り除いた実質GDPは変化しません。GDPデフレーターは「名目GDP実質GDP×100」の式で算出するので、輸入品価格の上昇はGDPデフレーターの下落要因として作用します。
    原油価格などの輸入品価格の上昇は、その上昇分が国内の製品価格にすべて転嫁されなかった場合、すべて転嫁された場合と比べ、転嫁されなかった相当分だけGDPデフレーターは高くなる。2023.5-16-4
    原油価格などの輸入品価格の上昇は、その上昇分が国内の製品価格等にすべて転嫁されない限り、GDPデフレーターの下落要因となる。2019.5-16-3
したがって適切な記述は[1]です。