FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問31
問31
法人税における資産の評価損に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人は内国法人(普通法人)であるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 卸売業者のA社が有する棚卸資産について、仕入先であるメーカーの過剰生産により、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。
- 衣料品販売業者のB社が有する棚卸資産のうち、季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであり、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。
- 不動産業者のC社が有する完全支配関係のある法人の株式(完全子法人株式等)について、その発行法人であるC社の子法人が財務状態の悪化に伴い解散し、清算中となったことにより、当該株式の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。
- 建設業者のD社が有する固定資産について、過度の使用または修理の不十分によって著しく損耗していることにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。
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正解 2
問題難易度
肢17.7%
肢257.2%
肢322.8%
肢412.3%
肢257.2%
肢322.8%
肢412.3%
分野
科目:D.タックスプランニング細目:10.法人税
解説
- 不適切。棚卸資産の評価損を計上できるのは、❶災害による著しい損傷、または❷著しい陳腐化の事実がある場合に限られます。棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、上記の事実と認められないため損金の額に算入することはできません(法基通9-1-6)。法人が有する固定資産について、1年以上にわたり遊休状態にあることにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2020.9-31-4)
- [適切]。棚卸資産の評価損を計上できるのは、❶災害による著しい損傷、または❷著しい陳腐化の事実がある場合に限られます。いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかである場合、❷著しい陳腐化に該当するものとして、評価損を損金に算入することができます(法基通9-1-4)。建設業者のD社が有する固定資産について、過度の使用または修理の不十分によって著しく損耗していることにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-4)法人が有する棚卸資産について、当該資産が著しく陳腐化したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2020.9-31-1)不動産業者のC社が有する完全支配関係のある法人の株式(完全子法人株式等)について、その発行法人であるC社の子法人が財務状態の悪化に伴い解散し、清算中となったことにより、当該株式の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-3)
- 不適切。有価証券についても、時価評価金額の著しい低下や、発行法人の資産状態が著しく悪化したことによる価額の著しい低下等があったときは評価損を計上できるのが原則です。しかし、完全支配関係にある子会社の株式については、その子会社が清算中である場合や解散や吸収合併されることが見込まれる場合は、評価損を損金に算入することができません(法人税法33条5項、法人税法令68条の3)。
【参考】完全子会社等が清算・解散した場合、完全子会社等の欠損金等の損失を親会社や合併存続会社が引き継ぐことになるので、もし評価損を損金として認めると二重で損金を計上することになってしまいます。そこで、清算中の完全子会社等株式の評価損は損金として算入できないことになっています。衣料品販売業者のB社が有する棚卸資産のうち、季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであり、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-2)建設業者のD社が有する固定資産について、過度の使用または修理の不十分によって著しく損耗していることにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-4)法人が有する棚卸資産について、当該資産が著しく陳腐化したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2020.9-31-1) - 不適切。固定資産の評価損を計上できるのは、①災害による著しい損傷、②1年以上にわたり遊休状態、③本来の用途に使用できないため他の用途に使用、④所在する場所の状況が著しく変化した等の一定の事実がある場合に限られます。過度の使用または修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗しているだけでは、上記の事実と認められないため損金の額に算入することはできません(法基通9-1-17)衣料品販売業者のB社が有する棚卸資産のうち、季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであり、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-2)法人が有する棚卸資産について、当該資産が著しく陳腐化したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2020.9-31-1)不動産業者のC社が有する完全支配関係のある法人の株式(完全子法人株式等)について、その発行法人であるC社の子法人が財務状態の悪化に伴い解散し、清算中となったことにより、当該株式の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合、原則として、損金経理により帳簿価額を減額し、評価損を損金の額に算入することができる。(2025.1-31-3)
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