FP1級過去問題 2025年1月学科試験 問42
問42
協議による離婚後に財産分与した場合の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 元夫から元妻への財産分与に係る財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他いっさいの事情を考慮してもなお過当であると認められる場合、当該過当である部分については贈与税の課税対象となる。
- 元夫が所有するマンションを元妻に財産分与した場合、元夫の譲渡所得の金額の計算上、当該マンションの財産分与の価額が収入金額となる。
- 元夫が所有するマンションを元妻に財産分与した場合、元夫は、所定の要件を満たせば、譲渡所得の金額の計算上、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けることができる。
- 元夫が所有するマンションを財産分与によって取得した元妻が当該マンションを第三者に譲渡する場合、譲渡所得の金額の計算上、元夫の当該マンションの取得価額が取得費となる。
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正解 4
問題難易度
肢110.3%
肢216.2%
肢326.5%
肢447.0%
肢216.2%
肢326.5%
肢447.0%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:2.贈与と税金
解説
- 適切。離婚による財産分与によって取得した財産については、夫婦の協力によって得た財産の額等を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合は、贈与税の課税対象となりません。しかし、その範囲を超える額については贈与税の課税対象になります(相基通9-8)。
- 適切。不動産を財産分与した場合、分与した時点における不動産の時価を譲渡所得の収入金額として、分与した側に譲渡所得の課税が行われます(所基通33-1の4)。本肢の場合、分与時のマンションの時価が取得費+譲渡費用よりも高ければ、譲渡所得として課税されます。元夫が所有する居住用マンションを元妻に財産分与した場合、原則として、元妻が取得した当該マンションは、贈与により取得したものとされない。(2025.9-42-3)離婚により、夫が妻に居住用マンションを財産分与した場合、原則として、妻が取得した当該マンションは贈与により取得したものとされない。(2023.5-43-4)
- 適切。不動産を財産分与した場合、分与した側に譲渡所得が生じることがあります。分与した財産が居住用財産の場合、譲渡所得の金額の計算上「3,000万円の特別控除」の適用を受けられます。この特例は、配偶者、直系血族、生計を一にしている者などへ譲渡した場合には適用できません。しかし、離婚したことにより元妻は配偶者ではなくなったので、その他の要件を満たしていれば当該特例が適用できます。
- [不適切]。取得費は引き継ぎません。離婚による財産分与で土地や建物を取得した場合、譲渡により取得したとされるので、分与により資産が移転した日が取得日となり、その時点での時価が取得費になります(所基通38-6)。したがって取得費は、元夫のマンションの取得価額ではなく、元妻が財産分与によりマンションを取得した日の時価です。
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