FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問15

問15

個人が契約する損害保険等の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. Aさんが自家用車の盗難に遭ったことにより、自動車保険の車両保険の保険金を受け取った場合に、当該損失について雑損控除の適用を受けるときは、損害額から当該保険金の額を差し引く必要がある。
  2. Bさんが病気で入院したことにより、所得補償保険の保険金を受け取った場合に、入院に係る医療費について医療費控除の適用を受けるときは、支払った医療費の金額から当該保険金の額を差し引く必要がある。
  3. Cさんが自宅を対象として少額短期保険業者と締結した地震補償保険の保険料は、地震保険料控除の対象とならない。
  4. Dさんが第三者に賃貸するアパートを対象として加入した地震保険の保険料は、地震保険料控除の対象とならない。

正解 2

問題難易度
肢17.4%
肢263.3%
肢39.0%
肢420.3%

解説

  1. 適切。自動車が盗難されると、車両保険から保険金額を限度としてその自動車の調達価格相当額の保険金が支払われます。資産に加えられた損害に関して損害保険から受け取る保険金は、利益が出たわけではないので、その資産の再調達や修理の有無にかかわらず非課税となります。
    Cさんが所有する居住用建物が火災により全焼し、Cさんが加入する火災保険から保険金を受け取った場合に、当該損失について雑損控除の適用を受けるときは、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2022.9-14-3
    火災保険の被保険者が所有する居住用建物の火災による損失に基づいて受け取った保険金は非課税となるが、当該損失について雑損控除の適用を受ける場合は、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2015.9-15-3
  2. [不適切]。就業不能状態になったときに所得を補償する所得補償保険で受け取る保険金は、身体の傷害に基因して受け取る保険金のため非課税となります。所得補償保険の保険金は医療費を補填するものでなく所得を補償する性質をもつので、入院医療費等について医療費控除の適用を受ける場合でも、保険金の額を差し引く必要はありません。
    Dさんが病気により入院し、Dさんが加入する所得補償保険から保険金を受け取った場合に、当該入院に係る医療費について医療費控除の適用を受けるときは、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2022.9-14-4
    所得補償保険の被保険者が病気により入院し、就業不能となって受け取った保険金は非課税となるが、当該入院医療費等について医療費控除の適用を受ける場合は、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2015.9-15-4
  3. 適切。少額短期保険業者の支払った保険料は、地震保険料控除の対象となりません。これは生命保険料控除でも同じ取扱いです。この2つの控除が対象とする保険契約は、保険業法上の(外国)生命保険会社・(外国)損害保険会社と締結したものとされているところ、少額短期保険業者はそれらに該当しないためです。
    自己の居住用家屋を対象として少額短期保険業者と締結した地震補償保険の保険料は、地震保険料控除の対象となる。2024.1-13-1
  4. 適切。地震保険料控除は、自己や生計を一にする親族の所有する居住用家屋等が対象となります。そのため、賃貸住宅のオーナーがその建物について支払う地震保険料は地震保険料控除の対象とはなりません。この場合、不動産所得上の必要経費に算入することになります。
    第三者に賃貸している居住用家屋を対象とする地震保険について、居住用家屋の所有者が支払った保険料は、地震保険料控除の対象とならない。2024.1-13-2
したがって不適切な記述は[2]です。