FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問35

問35

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合に、その不適合について買主が売主に通知すべき期間をその目的物の引渡しの日から2年間とする特約を定めたときは、その特約は有効となる。
  2. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10%を超えることとなる定めをしてはならない。
  3. 宅地建物取引業者が媒介契約を締結したときは、その契約が一般媒介契約であるか専任媒介契約であるかにかかわらず、契約の相手方を探索するため、所定の期間内に、当該媒介契約の目的物である宅地または建物につき、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。
  4. 専任媒介契約のうち、専属専任媒介契約を締結した依頼者は、他の宅地建物取引業者に重ねて媒介を依頼することはできないが、依頼者が自ら見つけた相手方と売買契約を締結することはできる。

正解 1

問題難易度
肢165.1%
肢27.3%
肢310.6%
肢417.0%

解説

  1. [適切]。宅地建物取引業者が自ら売主となる取引では、契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を引渡しから2年以上とする場合を除き、担保責任について民法の規定よりも買主に不利な特約をしてはいけません。2年以上なので、引渡しの日から2年間とする本肢の特約も有効です(宅建業法40条)。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めたときは、その特約は無効となる。2023.5-35-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を目的物の引渡しの日から2年間とする旨の特約は有効である。2019.9-36-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を目的物の引渡しの日から3年間とする旨の特約は有効である。2015.9-35-3
  2. 不適切。10%ではありません。宅地建物取引業者が自ら売主となる取引において、債務不履行を理由とする損害賠償額の予定または違約金の設定する場合、これらの合算額が売買代金の2割を超えることは禁止されています。2割を超えた約定があったときでも全体が無効にはならず、2割を超えた部分のみ無効となります(宅建業法38条)
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、買主の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めた場合に、その合算額が売買代金の額の20%を超えるときは、当該売買契約自体が無効となる。2025.1-35-c
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、買主の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めた場合に、その合算額が売買代金の額の2割を超えるときは、当該売買契約自体が無効となる。2019.1-35-1
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償額を予定し、または違約金を定めるときは、その合算額が売買代金の額の2割を超える部分は無効となる。2015.9-35-4
  3. 不適切。指定流通機構に物件情報の登録義務があるのは、[専属]専任媒介契約を締結したときです。一般媒介契約では登録は義務ではありません。指定流通機構に登録するまでの期間は、専任媒介契約では契約日から7日以内、専属専任媒介契約では同5日以内とされています(いずれも休業日を除く)。
  4. 不適切。専属専任媒介契約では、他の業者へ重ねて依頼することができないとともに、宅地建物取引業者が探索した相手方以外との契約が禁止されます(自己発見取引の禁止)。このため専属専任媒介の契約書には、依頼者が自己発見取引で契約に至ったときの措置が記載されます。
    専属専任媒介契約を締結した依頼者は、他の宅地建物取引業者に重ねて媒介を依頼することはできないが、依頼者が自ら見つけた相手方と直接に売買または交換の契約を締結することはできる。2020.1-34-4
    専属専任媒介契約を締結した依頼者は、他の宅地建物取引業者に重ねて媒介を依頼することはできないが、依頼者が自ら見つけた相手方と売買契約を締結することはできる。2016.9-34-4
    専属専任媒介契約では、依頼者は他の業者に重ねて媒介を依頼することはできず、また、依頼者が自ら見つけた相手方と売買契約を締結することもできない。2014.1-36-4
したがって適切な記述は[1]です。
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